[2025年3月2週号]
「畑わさベーゼ」一個700円(税込み)
【宮古】畑ワサビの生産量全国1位を誇る岩泉町。2024年度は、34人の生産者が143㌧のワサビをJAに出荷した。同町に本社を置く岩泉ホールディングス株式会社(山下欽也代表取締役社長)は、23年7月に畑ワサビを使った調味料「畑わさベーゼ」を販売。開発担当の鎌取望さんは「商品を通して畑ワサビの認知度を上げたい」と話す。
利用客から好評/県外進出視野に
同町で生産された畑ワサビは主にチューブワサビの原料として使用される。JAから加工の一次委託を受けている同社は、原料としてのワサビの利用だけでなく、独自の商品開発に向けて取り組んでいた。「どんな料理にも使えるような調味料を作りたかった」と鎌取さん。既に販売していた商品を基にして、幅広い料理に使えるように改良を重ねて「畑わさベーゼ」を製造した。
食感が残るように畑ワサビの茎を5㍉幅でカットし、くせのないひまわりオイルで漬け込んだ同商品。鎌取さんは「お客さまから『おいしい』との声をいただけて安心した」と話す。
畑わさベーゼは、道の駅いわいずみや、盛岡市内の産直施設で販売。年間4千個を売り上げるという。鎌取さんは「これから県外でも販売をしていきたい。岩泉町の特産品である畑ワサビの認知度向上につながれば」と話す。
「岩泉町のお土産として浸透させたい」と鎌取さん
岩泉町では、1996年頃から圃場整備や育苗施設の竣工など畑ワサビの生産振興に取り組み始めた。同町国境で畑ワサビを栽培する吉澤誠さん(47)は、2010年に就農し、2㌶で畑ワサビを栽培。24年度は約40㌧をJAへ出荷した。「林間で栽培するため、間伐や枝打ちをして適度な日射と日影になるよう調整している」と吉澤さん。「自分たちが栽培した畑ワサビを使った『畑わさベーゼ』が多くの人の手に渡ってうれしい。さまざまな食材にのせて食べてほしい」と話す。