【新聞:岩手版】省力化+足腰強く 放牧酪農

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】省力化+足腰強く 放牧酪農

[2020年12月2週号]

「冬期間は牛舎の外のパドックで運動させている」と西塚さん

 【宮古】2017年に実家に就農した岩泉町有芸の西塚和貴さん(26)は、母の静子さん(58)と二人三脚で、ホルスタイン(経産牛40頭、育成牛20頭)を飼育。夏季は近隣にある自家放牧地を活用し、飼育管理の省力化と産次数の多い牛の育成に取り組んでいる。

 西塚さんは県立盛岡農業高校で酪農経営を学び、卒業後は同校専攻科で専門知識を学びながら、同校の生徒が行う牛の管理を補助する宿直専門員として約3年勤務。就農後は主に飼養管理全般を担当する。

 放牧するのは6月から10月の日中。西塚さんは「朝の搾乳後に牛を放牧し、午後6時ごろに牛舎に戻す。日中は放牧地で牧草を食べるので、給餌の手間を省くことができる。夏の暑い時期は、放牧地の日陰で休むこともでき、暑さ対策にもなっている」と放牧のメリットを挙げる。

 「放牧は産次数の多い経産牛の育成にもつながっている」と西塚さん。「ホルスタインは足腰が強くない。放牧によって足腰が鍛えられることで、産次数の多い牛の育成につながっていると思う」と話す。

山の傾斜地に広がる西塚さん方の放牧地と採草地

春先の施肥が重要

 毎年の雪解けとともに15㌶の放牧地の管理作業が始まるという。「放牧が始まるまでに雪で壊れたバラ線を張り直す」と西塚さん。有芸地区は同町内でも積雪が多く、放牧地を囲むバラ線が雪の被害を受けるため、補修作業が欠かせない。

 「良質な牧草の確保には、春先の施肥作業が重要になる。場所によっては機械での作業が難しいため、背負式の散布機で肥料をまく。重労働だが、良質な牧草を確保するには大切な作業なので今後も力を入れたい」と放牧地の環境整備にも力を注ぐ。


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