[2019年10月3週号]
【盛岡】雫石町の農家らが中心となり、同町に新しい名物を作ろうと、酒造好適米を栽培する「雫石ひと雫の酒プロジェクト(砂壁純也会長=50歳)」が、会員に向けた稲刈り体験を先ごろ行った。収穫された酒米は、二戸市の酒造会社でオリジナルの日本酒「ひと雫」となり、同町の道の駅などで販売される。
環境を生かす
同プロジェクトは、同町で水稲を栽培する農家ら10人が中心となり、2015年に活動を開始した。実行委員の藤原由紀夫さん(50)は「雫石町は岩手山麓からの湧き水が流れ、古くから稲作が盛んな地域。その環境を生かした名物を作ろうと思い、酒米作りを始めた」と話す。インターネットなどでオーナー会員を募り、現在は県内外に会員が約200人いるという。
県内の酒造会社3社と提携し、実行委員の農家が合計6㌶の圃場で「美山錦」など4品種を栽培する。また、会員向けに農業体験なども行う。
9月下旬には、会員約40人が参加し手作業で収穫が行われ、田園地帯ににぎやかな声が響いた。盛岡市の会社員・阿部真弓さんは「農業体験に参加することで、知り合いが増えていい験になっている。農作業をしながら、みんなで汗を流すのは楽しい」と笑顔を見せる。
農家の誇りに
収穫した美山錦は、二戸市の酒造会社で、オリジナルの日本酒「ひと雫」となり、道の駅やインターネットなどで販売する。藤原さんは「自分たちで育てた酒米が、おいしいお酒になる喜びを共有することで、農業の面白さや地産地消の良さを感じてほしい」と話す。
砂壁会長は「原材料の生産者として注目されることは、農家にとって誇りになると思う。今後も会員や酒造会社などと連携を深め、よりプロジェクトを盛り上げていきたい」と意気込む。