【新聞:岩手版】脂肪の質を重視

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】脂肪の質を重視

[2025年2月1週号]

 

牛のエサやりをする保科さん。「SNS(交流サイト)などを通じて、牛の飼育する様子や背景を発信していきたい」と話す

【胆江南】繁殖和牛33頭、肥育和牛60頭の一貫経営に取り組む、奥州市前沢の株式会社ほしな(保科俊徳代表取締役=41)。子牛の成長にばらつきがないよう1週間で離乳させ、その後は強化哺乳に切り替える。また、肥育期には米ぬかを含めた飼料を給与して、脂質がいい牛の飼育を目指している。

 大学で牛の繁殖を学んだ保科さん。「実家が畜産農家で、父の跡を継ごうと考えていた」と話す。2004年に就農して、23年4月に法人化し、両親と社員1人の4人で畜産業に取り組む。

 子牛15頭を飼育している保科さん。通常子牛は3か月程度で離乳するところを1週間で離乳させるという。「離乳後は栄養価の高い代用乳を人工哺乳する。コストはかかるが成長のばらつきがない」と話す。哺乳量は通常1日4㍑程度だが、8㍑と量を増やす。カロチンを含めた哺乳液を与えることで、免疫力を高めて下痢の発生を予防するという。

 「肥育牛は脂質がいい肉が理想」と保科さん。良質な脂質にするため、飼料には米ぬかなどを配合している。米ぬかや稲わらは、地元の水稲農家からもらっている。保科さんは「最近、食品循環資源利用飼料(エコフィード)にも着目している」と話す。エコフィードとは、食品を製造する際に出る野菜の皮などを利用して製造された家畜用飼料のこと。「米ぬかだけではなく、大豆かすやビールかすなどを飼料に混ぜて牛に与える」と話す。

発情確認へ観察徹底

肥育前期には、タンパク質が多い大豆かすを用いた飼料を与える

 餌を毎朝与える際には、発情の兆候を見逃さないよう注意深く観察するといい、「良い発情が来るように、刈取り適期に収穫した牧草を与えている」と保科さん。飼養管理にも細かく気を配る。

 「繁殖から肥育まで一貫経営することで、子牛市場に左右されず肉牛を生産できる」と保科さん。「小ザシが適度に入り体形の良い牛を作りたい」と力を込める。


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