【新聞:岩手版】自らの対策を講じ 出荷数の維持へ

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】自らの対策を講じ 出荷数の維持へ

[2024年5月1週号]

「防霜ファンを使わなくてもいい1年になれば」と阿部さん

 【岩泉町】果樹と花きの複合経営に取り組む岩泉町岩泉の阿部栄一さん(62)。昨春受けたリンゴの花芽の凍霜害対策として、国や町からの補助金を活用して防霜ファンを4基導入した。阿部さんは「自分でできる対策をして、出荷数を維持したい」と話す。

 阿部さん方ではリンゴ(1・7㌶)、スプレーギク(ハウス7棟、8㌃)を栽培。主に岩泉町、宮古市内の産直やJA、八戸市の市場へ出荷する。繁忙期にはパート従業員4人を雇用している。

 4月のリンゴの剪定作業が終わり次第、スプレーギクの定植準備に入るという。リンゴの摘花作業の合間に薬剤散布をし、7月末から8月上旬に収穫・出荷する。リンゴの収穫作業と重ならないように、スプレーギクの出荷は8月中旬で終了させる阿部さん。「栽培期間を決めることで早生リンゴの作業に集中できる」と話す。

 昨年は、春先の遅霜、降雪でリンゴの花芽が凍霜害を受けた。出荷量は、例年より5割程減少したという。

国や市の補助金活用

温度を感知し、自動で電源が切り替わる

 「農林振興センターへ相談して、防霜ファンの導入を提案された」と阿部さん。公益社団法人岩手県農畜産物価格安定基金協会、岩泉町、宮古地域病害虫防除連絡協議会(NOSAI岩手)の3団体からの補助金で、昨年12月、特に被害の多かった園地に防霜ファンを4基設置した。温度低下を感知して、自動で電源が入り送風が始まる。阿部さんは「4月下旬から5月中の開花時期のほか、寒さに弱い幼果期の効果に期待したい」と話す。

 近年増加する獣害へ対応するため、2年前にわな猟の免許を取得した阿部さん。「天候不順など自分の努力だけでは対応できない事態に対応するため、果樹共済や園芸施設共済に加入している。今後も加入を続けて万が一に備えたい」と話す。


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