【新聞:岩手版】良品生産じっくりと

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】良品生産じっくりと

[2024年11月2週号]

 【一戸町】ハウス8棟で菌床シイタケ(2万6千玉)を栽培する一戸町奥中山の大沼賢志さん(46)。ハウスの温度管理に注意しながら、約1年間菌床を培養して、一つの菌床から1㌔前後のシイタケを収穫する。規格外のシイタケは、干しシイタケに加工。大沼さんは「二度干し熟成させると香り、旨味が凝縮される。遠方から買いに来るお客さまもいる」と話す。

 夏場はピーマンとトルコギキョウを栽培する大沼さん。「冬場は菌床シイタケに力を入れる」と話す。JAから菌床ブロックを購入後、ハウスで約1年間培養。10月下旬から収穫を開始して、翌年6月までJAや産直へ出荷する。

 昨年10月から培養を始めた菌床ブロックは、乾燥防止と夏場の高温対策として今年5月末から袋を切り取り始め、早めに散水できるように準備した。「菌床ブロックの中に水が溜まることで、ハウス内の温度が上がりにくくなって夏場も温度を管理しやすい」と大沼さん。設定温度はハウスごとに調整し、ハウスがある場所の水はけなどによって変えている。「完全には遮光しない。透明なビニールのハウスと比べて40%は光が入るように調整する」と話す。

「時間をかけて菌床を培養すると、軸が太くて形の良いシイタケが取れる」と大沼さん

 シイタケが発生するには、寒暖差が必要となることから「ハウス内の温度を20度に保ち、3~4日後入り口を開けて寒さに当てる」と大沼さん。シイタケの発生から8~10日後に収穫する。

 規格外のシイタケは6㍉の薄さにスライスしてから、乾燥機で30時間ほど干す。袋に詰め替えて約6ケ月熟成させてから、再び乾燥機で干して地元の産直に出荷する。「熟成中にカビが発生しないように」と温度、湿度、日光の量に気を付けているという。

 大沼さんは「いろいろな方法を試して現在の栽培に落ち着いた。今後も出荷数を維持して、楽しみながら農業に取り組みたい」と話す。


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