【新聞:岩手版】農福連携の多品目栽培

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】農福連携の多品目栽培

[2023年7月1週号]

「他県から取り寄せたニンニクはうまく育たなかった。岩手山の火山灰を含む八幡平市周辺の土壌が八幡平バイオレットの栽培に適しているのでは」と髙橋代表

 【盛岡】農福連携の農業に取り組む八幡平市田頭地区の「一般社団法人すばる(髙橋和人代表理事=62歳)」では、同市の在来ニンニク「八幡平バイオレット」を中心に多品目を栽培する。有機農産物JAS認証と有機加工食品JAS認証を取得し、ニンニクは自社で加工・販売。農薬を使わない栽培と特産品生産の継続を目指す。

 同市出身の髙橋代表は、母親の認知症発症をきっかけに地元へ戻り、介護事業を立ち上げた。その後、施設利用者の就労を支援するため同法人を設立し、農業経営を始めた。

 「珍しい品目を栽培したい」と、1件の農家が長年栽培する在来種のニンニクに着目。2017年に八幡平市が「八幡平バイオレット」として品種登録し、同年に栽培を開始した。

 八幡平バイオレットは、外皮が赤紫色で、病気に強く、栽培管理の手間が少ない。一般的なニンニクと比べて皮や実が柔らかく、マイルドな味わいだという。「サイズが大きく、店頭に並ぶとひときわ目を引く」と髙橋代表。現在は、計3㌶を超える圃場で八幡平バイオレットを中心に多品目を栽培する。

 昨年5月、有機農産物JAS認証を取得した。髙橋代表は「有機栽培には、周囲の農家の協力が欠かせない」と話す。農薬のドリフトに注意し、施設利用者と連携しながらこまめな除草で圃場を整備する。

赤紫色の外皮が特徴の八幡平バイオレット(写真提供=髙橋代表)

有機栽培圃場の拡大へ

 施設の利用者は植え付けから収穫まで、一年を通して作業に取り組むという。髙橋代表は「今後も農福連携を大事にしていきたい」と話す。

 有機加工食品JAS認証は今年4月に取得。自社で八幡平バイオレットを「黒ニンニク」に加工し、道の駅にしねや自社のオンラインショップなどで販売する。

 「農薬を使わないで、世代を問わず安心して食べられる作物を栽培したい」と髙橋代表。「継続が大切。有機栽培の圃場の割合を増やしたい」と意気込む。


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