【新聞:岩手版】野菜に付加価値

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】野菜に付加価値

[2024年9月3週号]

「作業終了ボタンを押すと従事時間が自動で記録される。紙ベースで管理していた頃と比べて負担が軽減した」と南幅代表

 【盛岡市】「お客さまが安心して食べられる野菜を作りたい」と話す、盛岡市中太田でミニトマトなどの野菜を栽培する「農業生産法人キートスファーム株式会社」の南幅清功代表(68)。法人設立した2012年から化学肥料、農薬を使用しない有機栽培に取り組む。環境負荷低減に取り組んだ農作物のPRに尽力する。

 「化学肥料の代わりに、豚のふんを発酵させて作られる堆肥で土づくりをしている」と南幅代表。定期的に実施する土壌分析の結果に応じて、豚ぷん堆肥の投入量を調整している。また「化学農薬の使用量を抑えるため」と除草剤の代わりにソルゴーやムギなどの緑肥植物を植えた除草対策を実施。トマトの受粉にはミツバチを利用している。

 現在、従業員4人のほかアルバイトを雇用し、5㌶で野菜を栽培。21年から圃場のうち1㌶で有機JASの認証を取得し有機栽培を行い、4㌶では農薬使用を低減した栽培に取り組む。ミニトマト「プレミアムルビー」は、ハウス6棟(20㌃)で有機・減農薬で栽培する。

 23年に岩手県内で初めて「みどり認定」を取得した。みどり認定とは、「みどりの食料システム法」に基づき有機栽培、温室効果ガス排出削減など環境負荷低減に取り組む農家を認定する制度。ミニトマトなど3品目で三ツ星認定を受けた。「認定には、使った資材や詳細な栽培記録の提出が必要」と南幅代表。従業員の一日の作業時間をスマートフォンアプリで管理している。

環境負荷低減に取り組んだ目印の「みえるらべる」

 今年の出荷分から、環境負荷低減に取り組んだ農作物とPRするため、ラベルシールを貼って販売を開始。「お客さまへ環境に配慮した農作物だとアピールしたい」と話す。今年は8~9㌧の出荷量を見込んでいて、株式会社マイヤ、イオン東北株式会社へ出荷する。

 岩手県有機JAS協議会の事務局長を務める南幅代表。「有機栽培を広めて、お客さまに安心・安全な野菜を届けたい」と話す。


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