[2019年6月3週号]
【中部】「良質の野菜の出荷を心がけて栽培しています」と話すのは、北上市滑田(なめしだ)にある「きたかみ千田農園」の千田健一代表(49)。市内の野菜農家のもとでキュウリやネギの栽培について学んだ後、実家で就農した。良質な野菜を出荷するため、小まめな品質管理と、点滴灌水の実施で生育安定や労働力の軽減も図っている。
「前職の東京異動の辞令をきっかけに、いずれは継ごうとしていた農業を」と思った千田代表。実家は兼業農家で米作りをしていたが、「米作りだけでは先々が不安」と感じ、北上市内の野菜農家に、ネギとキュウリ栽培について1年間学んだ後、2013年4月から本格的に栽培を始めた。
現在、露地とハウス合わせて100㌃で、キュウリとネギをメインに、ミニトマトやキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーを栽培する。
作業時間と労力軽減
「前職での経験から、消費者に品質の良いものを提供することを心がけている」と、定植した日やどのような農薬をいつ散布したかなどを記録。良品質な野菜の出荷するため、キュウリは形の悪いものを早めに摘果し、ネギは土寄せ回数を増やし、草を取る手間を減らしている。昨年度は、前年対比110%の販売収入を得た。
キュウリとトマトには、点滴灌水を実施する。「点滴灌水は、体の中に点滴で栄養を入れているようなもの。栄養を切らさずに野菜を栽培し、今は作業時間も労力も軽減できている」
朝取り収穫体験も
栽培した野菜は、JAや市内の産直「あぜみち」、飲食店「きたかみ川」などに出荷している。また、今年は千田代表の畑でキュウリの朝取り収穫体験を行う予定だ。「イベントを通して消費者とつながることで、消費者の生の声を聞けるのが楽しい」
今後について千田代表は「キュウリを長期間出荷できるように、2月にハウスを増設した。良品質な野菜の出荷を今後も継続していきたい」と意気込む。