【新聞:東北版】農福連携で自立支援

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:東北版】農福連携で自立支援

[2022年7月4週号]

牛舎だった納屋を改装した事務所で話す美保さん(左)、浅沼幸雄組合長(中央)、秀之さん

 【岩手支局】遠野市宮守町の「NPO法人ワーカーズコープ遠野地域福祉事業所(今淵富士子所長)」は、今月2日に就労支援や自立(生活)訓練などに取り組む多機能型事業所「わの里」を同町に開所。地元の生産組合と連携して農作業を行い、地域住民とコミュニケーションをとることで、利用者の自立と地域の活性化を目指す。

 就労継続支援B型事業所のわの里は、同事業所・生活支援員の佐藤美保さん(60)の実家の納屋を事務所に改装して開所。今秋までに母屋を厨房とカフェに改装する予定だ。

 農作業は、同町の農事組合法人宮守川上流生産組合(浅沼幸雄組合長、組合員182人、水稲77㌃・大豆約19㌶・野菜80㌃・水稲育苗5400枚)と連携して取り組む。

 「わの里さんから農福連携の話があったとき、この組合を自由に利用してもらいたいと思った。農福連携は特別なことではない。このような取り組みが当たり前になって、地域を一緒に元気にしていきたい」と浅沼組合長。

同事業所敷地内にある農地3㌃で小豆やブルーベリーを栽培

 同事業所・職業指導員の佐藤秀之さん(54)は「農福連携の提案を受け入れてもらいうれしかった。農作業は利用者の体調で判断するが、生産組合と相談しながら利用者に合った作業ができる環境を整えたい」と話す。

 同事業所の定員は20人で、常勤職員3人、パート1人が対応。利用者は午前・午後に2時間ずつ農作業をする。同生産組合の指導のもと、トマトやブルーベリーの収穫作業をする予定だ。同生産組合の年間作業スケジュールや、利用者の状況によって水稲の育苗作業などの依頼も検討している。同生産組合の加工場でのラベルシール貼りなどの出荷作業も計画している。

 収穫物は、利用者がパンや菓子に加工し、カフェでの提供や近隣の産直施設で販売する。「利用者はカフェの接客も行い、地域住民などと交流する」と秀之さん。10月には、弁当の製造・販売も始め、遠野市内の事業所などを巡回して移動販売する。

 秀之さんは「地域の方にカフェなどへ気軽に立ち寄ってもらい、利用者が楽しく過ごせるような場所にしたい。この取り組みが地域の活性化にもつながれば」と今後を見据える。

 

 


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