[2018年9月2週号]
【雫石町】雫石町の農事組合法人ユニティファーム七区では、JA全農が開発したトロ箱養液栽培システム「うぃずOne」を導入してミニトマトを栽培。水稲育苗後のハウスを活用し、軽量なトロ箱の使用や肥料の自動灌水などで、栽培管理の省力化に成功している。
ユニティファーム七区は水稲約28㌶を栽培する。髙畑武已代表理事(79)は「山沿いの土地で、土中には石が多い。育苗後のハウスを耕さずに、そのまま利用できる」と、2014年にトロ箱養液栽培システムを導入した。
現在は、水稲育苗ハウス10棟(約15㌃)でミニトマトを栽培、主に首都圏へ出荷している。1・6㌃のハウス1棟当たりに、約165個のトロ箱を設置。ミニトマト330本を定植している。「昨年は、約8㌧収穫できた。苗木1本当たり、2・8㌔収穫できる」と髙畑代表。
4年間使用も破損なし
トロ箱は発泡スチロール製で、保水性の良い専用の培土を入れ、1箱に2株のミニトマト苗を定植する。「ふたの部分には定植用の穴が二つあり、ふたを裏返すと左右が入れ替わるので、同じ箱を翌年も使用できる。軽くて持ち運びも容易な割に、4年間使用しても破損などはない」
肥料は混入機で水と混ぜ、灌水時に自動で供給される仕組みだ。「1週間ほどで効果が現れるので、生育を見ながら肥料の濃度を変えることができる。全農の試験データの一覧表があるので、濃度の調整も分かりやすい。初心者でも失敗は少ないと思う」
ハウス栽培のため7月中旬から11月中旬まで出荷が可能だ。苗木が6段目まで開花したら、茎を支柱とテープで斜めに誘引。「11月には1株全長4㍍以上になるので、収穫や管理作業がしやすいように」と作業員の負担軽減を図っている。
髙畑代表は「短年度で成果を上げることができている。今年は収量9㌧を目標にしたい」と手応えを感じている。