[新聞:岩手版]夢を現実のものに~地域ブランド化を目指して~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]夢を現実のものに~地域ブランド化を目指して~

[2016年5月2週号 岩手版]

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「多くの方々に協力してもらった」と話す佐藤会長

【陸前高田市】東日本大震災の津波によって甚大な被害を受けた陸前高田市では、同市のオリジナル水稲品種「たかたのゆめ」を農業復興のシンボルとし、地域ブランド化を目指している。昨年は52㌶作付けし、202㌧を収穫。今後も収量の向上、栽培面積の拡大に取り組む。

たかたのゆめは、日本たばこ産業(JT)が保有していた新品種「いわた13号」を農業復興支援として、権利も含めて同市に寄贈したもの。耐倒伏性に優れ、いもち病にも抵抗性があり、低農薬での栽培が可能だ。

2014年には「たかたのゆめブランド化研究会」(佐藤信一会長=67歳)を発足。同市と一体となり、栽培面積拡大やPRに取り組んできた。

佐藤会長は「たかたのゆめをきっかけに、地元の農業・漁業・林業を連携、活性化させ、陸前高田産食材のブランド化を目指したい」と話す。

たかたのゆめは、特別栽培米として栽培していて、昨年は52㌶作付けし、202㌧を収穫。約40㌶が復旧田で、地力低下の影響を受けて、前年と比較して約2割の減収となった。今年は54㌶の作付けを計画。慣行栽培との収量比較や、肥料の組み合わせなどを試験する栽培実証圃を増やし、収量アップを目指す。

現在は、全量販売先が確保され、主に愛知県や関東圏に出荷するほか、地元のスーパーや産直で販売している。販売単価は高値が続き、昨年はJA全農岩手の精算金で県内トップとなった。

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冷めてもおいしいので、弁当やおにぎりにも適している

同市では、昨年からふるさと納税の返礼品として採用。同市農林課「たかたのゆめ係」担当の村上聡課長補佐は「市長もイベントなどで先頭に立ってPRをしています。100㌶の作付けを目標とし、生産者への支援も継続していく予定です」と話している。

また、冷めても食味が落ちにくいことから、昨年3月には一般社団法人おにぎり協会から「おにぎり協会認定食材第1号」に認定されている。

佐藤会長は「地域の生産者の協力もあり、少しずつ作付面積が増えてきた。多くの企業や団体の支援を受け、栽培技術も向上している。この事業を軌道に乗せて、地域農家の所得向上につなげていきたい」と力強く話した。


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