[2017年5月1週号岩手版]
【平泉町】県内の道の駅として32カ所目となる「道の駅平泉 黄金花咲く理想郷」が先ごろ、平泉町平泉にオープンした。構内の物産館では、地域の農産物や加工品、工芸品などを販売していて、管理運営する「株式会社浄土の郷平泉」の千葉邦彦代表取締役(58)は「来てくれた方が笑顔になってもらえる施設を目指したい」と意気込んでいる。
○食の安全を徹底
同道の駅では、地域の生産者が新たに出荷登録しやすい環境を作ろうと生産組合や部会を設けていない。現在の出荷登録者は150人を超え、うち3分の2が町内の生産者だ。また、費用を負担して放射能検査を実施するほか、出荷者が農薬の使用経過記録を提出するなど食の安全への取り組みを徹底している。
千葉さんは「今後は取り扱う町内産の品目をさらに充実させたい」と、道の駅を地域の農業振興を促す拠点にしたいと考えている。
○黄金色のからし粉
「自宅から近くて通いやすい」と話すのは、主にニンニクやゴボウ、大根などを同道の駅に出荷する同町長島地区の春日谷マツ子さん(78)。直売所などへの出荷経験は約20年で、特に力を入れているのが「黄金色のからし粉」だ。
菜の花に似たカラシナの種子を粉末状に加工したからし粉は、長島地区で古くから生産されている。カラシナの種子は長期間保存が可能で、春日谷さんは漬物などの需要が見込まれる時期に合わせ、からし粉を出荷している。
「朝起きて畑に行くのが楽しみ。買ってくれる方に失礼のないよう出荷作業には一番気を遣います」と春日谷さん。「道の駅で販売できることで多くの人にからし粉を知ってもらえる機会になればうれしい」と期待を寄せる。
○地元食材でおもてなし
構内に併設するレストランでは、同町戸河内地区産のみそを使ったみそラーメンや首都圏などで好評なブランド牛「いわて南牛」を提供。土・日・祝日には30~40品が並ぶバイキングが楽しめる。物産館に出荷された農産物を食材に使うことで、商品ロスの軽減や出荷者の所得向上支援を図っている。
大型連休中には、同町の達谷窟神楽や一関市舞川の鹿踊りなどイベントが催される予定で、おもてなしの準備は万全だ。