[2017年12月2週号岩手版]
【紫波町】「お客様に安心して味わってもらいたい」と話すのは、地元産「ナンブコムギ」を使ったベーグルを製造・販売する紫波町二日町の「LOTA.bagel(ロタ ベーグル)」の澁田ひとみ代表(44)。「素材を活かすには、発酵が大切」と自然発酵させた生地は、もちもちの食感を生み、消費者からも好評だ。
澁田代表は、自宅敷地内にある3坪の工房でベーグルを製造し、配達までをすべて一人で行う。
「ベーグルに出会うまで、普通の事務員だった」と澁田代表。東京で偶然見つけたベーグルの店に憧れ、独学で作り方を研究し、2007年に工房を設立した。
当時まだベーグルの知名度は低く、2、3冊の書籍を参考に試作を重ねた。「一番おいしいと思えるベーグルが焼けるまで、小麦粉と水、塩の分量を変えながら何度も作った」と振り返る。
小麦粉の原料は、紫波町産ナンブコムギ。開花期に一度だけ赤かび防除剤を散布する以外は、農薬は使わない。澁田代表は「お客様に安心して味わってもらいたい」と、試作時からこの小麦粉を使い続けている。
同町産ナンブコムギの魅力は「グルテン量が多いのでかみ応えがあり、かむほどに小麦の風味が楽しめる」と澁田代表。素材を生かすため、生地は自然発酵させている。「時間をかけて自然に膨らんだ生地からは、よりもっちりとしたベーグルができるような気がする」と話す。
同工房のベーグルは、盛岡市など近隣のカフェ6店舗で味わうことが出来るほか、予約販売も受け付けている。
常連客の40代女性は「風味がよく、もちもちしておいしいのでよく予約する。地元産の材料で安心できるので、家族で食べている」と話す。
澁田代表は「農家の皆さんのおかげで、素材を生かしたベーグルをお客様に楽しんでもらうことができる」と感謝しながら、ベーグル作りに励んでいる。