[2021年12月2週号]
【北部】野田村の地域おこし協力隊として、特産のヤマブドウ栽培に2018年から従事していた同村沢山の山口光司さん(26)は、高齢になり管理できなくなったヤマブドウ農家の圃場(1㌶)を受け継いで、今年4月に就農した。ヤマブドウの魅力を会員制交流サイト(SNS)で発信するとともに農作業員を募り、特産品の栽培を支えようと奮闘している。
栃木県出身の山口さんは、学生時代に東日本大震災の復興支援に携わり、被災地のために働きたいと思い、大学卒業後に野田村の地域おこし協力隊に就任。震災以降、高齢化が進み生産者が減少するヤマブドウの生産支援員として栽培に取り組んできた。
ヤマブドウの魅力を広く知ってもらうため、SNSなどで栽培状況を紹介するほか、収穫・選果作業のボランティアを募っている。
「作業は基本的に1人で行っているが、ボランティアの方と作業するのは楽しくてはかどる」。今年は県内外から合計80人が参加した。参加者からは「普段は畑に行く機会がないので楽しい。来年も参加したい」と好評だったという。
ジュースを自ら製造
「農薬の散布回数を減らして、ヤマブドウを栽培したい」と山口さん。通常は薬剤を7回散布するところを、今年は5月と6月の2回にとどめた。しかし、8月の天候不良で日当たりの悪い場所では、ブドウオオトリバなどの害虫が大量発生したという。
「栽培の難しさを痛感した。この経験を踏まえて、来年は防除時期や散布範囲を見直したい。また、圃場の特徴を掴むことも大事だと学んだ」
今年の収穫量は2㌧で、選果後に久慈地域の業者へ出荷するほか、山口さん自らジュースの製造にも取り組むという。「目標収穫量は4㌧。安定出荷できるように栽培技術を身に付けたい。先人が開拓し、栽培を続けてきたヤマブドウを守り、地域の方々に恩返ししていきたい」と意欲的だ。