[2021年8月2週号]
【宮古】山田町石峠地区では、石峠開田組合(岡田博巳組合長=73歳、組合員17人)が中心となり、遊休農地を再生。今年2月中旬から本格的な整備作業を始め、整備後の農地約3㌶に大豆を作付けた。岡田組合長は「地域住民が協力して作業することで地域のつながりづくりにもつながった」と話す。
農家の高齢化や離農により、同地区内にある農地の約3割が遊休農地となっていた。岡田組合長は「20年以上放置されていた農地もあり、木が生い茂るなど山林化が進んでいた。遊休農地はニホンジカやスズメの隠れ家となって、大豆や水稲の食害がひどかった」。と振り返る。
同組合では、遊休農地が要因の鳥獣被害が問題となっていたが、農地再生に向けた手を打てずにいた。その中で、同町豊間根地区の木村良一さん(73)から遊休農地の整備に力を貸したいと声が上がり、賛同した同組合と協働で整備活動を始めた。
シカ被害が大幅に減少
2月中旬から木の伐採や伐根作業を開始し、山林化していた農地が、作物を作付けできる状況にまでなったという。整備後には電気柵を設置し、ニホンジカへの対策を強化した。
岡田組合長は「放置されていた農地が、耕作されるだけで、農家としては明るい気持ちになる。電気柵のおかげでニホンジカの被害は大幅に減った」と感じている。
農地整備にはベテラン農家だけでなく、農業以外の仕事がある組合員や幅広い年代が参加。木村良一さんの後継者で、整備後の耕地で大豆を栽培する木村美由紀さん(45)は「今は農業をしていない人も、整備作業を通じてお互いの顔を覚えるきっかけとなったと思う」と話す。
岡田組合長は「一番の収穫は、自分たちの手で整備して、地域の人たちが一つになったこと。整備を通じて、地域のつながりが強まった」と笑顔を見せる。