【新聞:岩手版】「太くて丈夫」増える注文

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】「太くて丈夫」増える注文

[2021年7月1週号]

 【北部】軽米町晴山で2003年からピーマンを栽培する笹山正義さん(78)と妻のき子さん(71)は、予約制でピーマンの苗を販売している。育苗管理を改善したことで、太くて丈夫な苗になり、出荷先の農家に好評だ。また、露地栽培とトンネル栽培を併用することで、長期出荷を可能にした。

 

「ピーマンは乾燥に弱いため、1日3回水やりを行う」と正義さん

 予約制の販売は8年前に始めた。今年は3月上旬に播種し、ビニールハウス4棟で1万本を育苗。5月中旬には、予約を受けていた地元の農家に苗を出荷した。

 苗は、セルトレーに点まきして、発芽後ポットへ一本ずつ移植。運びやすくするために育苗箱に並べている。

 「昨年は、苗にカビが発生するなど、思うように苗の生育が進まなかった」とき子さん。今年は、苗の間隔を広く取り、日当たりや風通しを良くするように改善した。「生育が良好で苗が太く育ち、出荷できる本数が増えた。苗を購入した方から『苗が太くて丈夫なため、支柱を急いで立てなくて良い』と好評」

 トンネル併用で長期に

U字支柱を加工したトンネル栽培

 笹山さん方では、露地栽培とトンネル栽培(合計30㌃)で1700本のピーマンを作付ける。昨年は9200㌔をJAに出荷した。

 トンネル栽培は、知人から譲り受けたリンドウのU字支柱を再利用。ピーマンの高さに合わせて小さく加工し、初期費用を抑えた。

 正義さんは「トンネル栽培は雨や霜の対策となり、病気の発生を防ぐ。収穫期が早いので長期間出荷できる」と話す。

 ほとんどの作業を2人で行うため、労働力の確保が課題だという。正義さんは「ビニールシートを張る作業は2人では限界がある。定植期の人員を増やして、トンネル栽培の面積を広げたい。また、苗の注文が年々増加している。手間を惜しまず丈夫な苗を育て、お客さんの期待に応えたい」と意気込む。(菊池優里)


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