【新聞:岩手版】きれいな作業場が経営の好循環に

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】きれいな作業場が経営の好循環に

[2020年8月3週号]

 【宮古】宮古市新里刈屋の久保田智治さん(25)農地に合わせた肥培管理と作業工程管理を徹底し、ブロッコリー栽培で農業生産工程管理の国際基準「GGAP(グローバルギャップ)」の認証を取得した。コストカットなど農業経営に好循環を生み出し、目標とする規模拡大に向けて奮闘している。

「刈屋地区は1日の気温差があるので、実がしまって甘みがあるトマトを栽培できる」と久保田さん

 久保田さんは岩手県農業大学校を卒業後、種苗会社が運営する滋賀県の園芸専門学校で栽培技術を学んだ。「大規模産地出身者や、やる気がある学生が多く、自分も負けたくないと感じた」と話す。卒業後は、2016年に地元に戻り、2㌶の農地を借りて就農。農作業は両親と叔母の4人で取り組む。

トマトは年々増収

 夏季の主力品目はハウス栽培のトマトだ。「作付けした初めの年は枝の勢いが強くなってしまった」と久保田さん。借りた農地はかつて水田だったため、栄養分や保水力が強く肥培管理に苦戦した。現在は元肥を減らして液肥による追肥主体にすることで、収量は年々増えているという。

 19年にはブロッコリー栽培でGGAPの認証を取得。食や作業の安全などの評価項目の中で、特に作業場の整理整頓に力を入れた。「工具類は壁掛けで保管している。きれいな作業場が当たり前になって、食材を作っているという責任感が出てきた」

工具類を壁掛けで保管することで作業場を整理

 GGAP取得が、農業経営全体のコストカットにもつながっているという。「作業場が整理されて在庫管理が簡単になった。在庫をすぐに把握できるので、農薬や資材の無駄のない購入につながっている」

 主力品目のブロッコリーは、今年1・5㌶作付けした。今後は2㌶まで規模拡大を目指している。久保田さんは「将来は新里地区全体の遊休農地を活用したい。そのためには効率化や機械化が重要。人手が必要になるので、雇用についても勉強したい」と話す。


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