【新聞:岩手版】地域の農地引き受け スマート農業を推進

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】地域の農地引き受け スマート農業を推進

[2023年2月1週号]

「息子のほか家族が農作業を手伝ってくれる」と伊藤さん

 【中部】水稲10・4㌶、小麦4㌶を栽培する花巻市太田の伊藤学さん(47)。担い手不足に悩む地域農家の農地を引き受けるため、2022年2月にJAを退職後、就農した。得意のプログラミング技術を生かしたスマート農業の導入などで、省力化と効率化を図り、規模拡大を目指す。

 就農前は、農業を営む父の作業を手伝っていた伊藤さん。父の目が悪くなり、農業の継続が難しくなったため就農の準備をしていたところ、地域の集落組織で担い手が不足していることから、農地の引き受けを決めた。伊藤さんは「地域の農家の方が応援してくれているので、期待に応えられるように頑張りたい」と話す。

 昨年の春先に農機具が立て続けに壊れ、一週間半ほど作業ができない日が続いた。「初めて本格的に農業に取り組み、改善点が見えた」と伊藤さん。今年の冬期間は自ら農機具の点検・整備を進めているという。「ほとんどが古い機械だが、コストを抑えて大切に長く使いたい」

 

ドローン購入に助成金

部品を3万円ほどで取り寄せ、制作したGPS装置

 JAに在職中は、経理システムの構築などパソコン関係の業務が中心だったという。得意分野のプログラミングを生かして、農業用フリーソフトを使い、独自にトラクターのGPS(衛星利用測位システム)装置を自作。「自作なので費用があまりかからなかった。農作業の効率化と省力化を実現したい」と意気込む。

 昨夏に同市の助成金を利用して息子とともにドローン(小型無人機)の免許を取得し、機体を購入した。「免許取得費用の2分の1と、本体購入費用の3分の1ほどを助成金で賄えた。防除や追肥など、今後の農作業に役立てたい」

 今後は経営面積20㌶が目標。「今は20㌃ほどの圃場が100筆以上あるので、除草作業に苦労している。今年から岩手県が実施する圃場整備が始まるので、除草作業が簡単になることを期待したい」と話す。


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