[2022年6月1週号]
【胆江】「農業は災害や病気などのリスクと常に隣り合わせ」と話すのは、奥州市水沢にある「佐々木果樹園」の佐々木朋滋さん(42)。多品目の果実を栽培することで、自然災害などのリスクを分散させた。果実はコンポートなどの加工品として製造し、地元のスーパーや産直などで販売する。
佐々木さんは勤めていた会社を退職し、2008年に実家で就農した。現在は、2・5㌶の圃場で、父の省市さんが始めたリンゴ栽培のほか、モモやナシなど6品目の果実を栽培する。
「就農当初、リンゴの品種の中でも早生や中生の品種が多く、販売単価が安かったため、経営はあまり良い状態ではなかった」と佐々木さん。その後、リンゴの早生品種を減らし、販売単価が高いモモやナシの栽培を始め、安定した経営を目指した。
モモやナシは、リンゴより早い7月中旬から収穫が始まる。「奥州市内では、リンゴをメインで栽培する人が多く、モモやナシを栽培している人は少ない。リンゴの作業の手が空くタイミングで対応できるので、効率的に収入を増やすことができる」
経営を安定させるため、土地に合った品種の栽培を考えている。「新しい品目を見つけたら栽培するようにしている。何度も失敗したが、自分のペースで新しいことに挑戦できるのが農業の魅力」
19年からモモの果実をシロップに漬けたコンポートを販売している。「加工することで賞味期間を長く保つことができる。生に近い状態を味わえるので、多くの人に食べてもらいたい」
佐々木さんは「多品目を栽培するのは労力はかかるが、品目をばらけさせることで、今後も自然災害などのリスクを分散させていきたい」と力を込める。