【新聞:岩手版】安全・安心・体調良好

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】安全・安心・体調良好

[2021年7月3週号]

 【中部】花巻市東和町の小田肇さん(75)は、2006年からアイガモ農法で水稲栽培をする。農薬を使わずに雑草や害虫駆除の効果が得られるという。獣害対策には電気柵や忌避音装置を設置。「アイガモ農法の米を食べるようになってから体調がいい」と健康面での効果も実感している。

「農薬を使わないことで手間も省けて、安全な米を作ることができる」と小田さん

 小田さんは、知人の農家に勧められてアイガモ農法を始めた。水稲1㌶のうち60㌃で、「陸羽132号」の栽培にアイガモ農法で取り組む。

 アイガモは、県外の業者から生後1週間のひなを仕入れる。田植えの4日後、1枚の田(約15㌃)に10~15羽ほどを放し、出穂前の7月下旬まで水田内で飼育する。

 「アイガモ農法はメリットが多い。アイガモが足かきをして泳ぐので土が掘り起こされて除草効果が高まる。土の中や葉についた虫を食べてくれるし、ふん尿は肥料になる」

モスキート音を出す装置で、キツネの体高に合わせて設置。仕切りはアイガモの脱走対策も兼ねる。電気柵はソーラー式

動物感知で高周波音

 メリットがある反面、獣害も多いという。「夜になるとアイガモを狙ってキツネが来る」と小田さん。侵入防止装置を設置し、獣害対策に力を入れる。

 水田の周囲に高さ60センチの仕切りを設置。その上に、高さ60センチの電気柵を張る。仕切りの前には、動物を感知してモスキート音(高周波音)を出す装置を等間隔に設置。近づくと動物が嫌う音を出して侵入を防止する。「対策をしてから被害は減ったが、完全にはなくなっていない。新たな工夫が必要」。

 小田さんは「農薬を使わないで育てた米を食べるようになってから、体の調子がいい。『アトピーが改善した』とお客さんからお礼を言われたこともある。これからもアイガモ農法を続けて、おいしい米を届けたい」と笑顔を見せた。


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