【新聞:岩手版】栽培しやすく価格安定

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】栽培しやすく価格安定

[2022年7月3週号]

アンジェレの生育を確認する扇田さん。誘引はハウスの形状に合わせた方法が可能だ

 【宮古】宮古地域では、2021年にJA全農オリジナル品種のミニトマト「アンジェレ」の作付けを始めた。アンジェレは、ヘタを付けず、ばらで出荷するため、作業の負担を大幅に削減した。契約栽培で価格が安定し収益性が見込めるため、JA新いわてが生産者と共同で産地化を目指している。

 アンジェレは、ゼリー分が少なく、冷やすと果肉はサクサクとした食感がある。糖度が高く食味が良いことから、小売りでの人気が高い。

 栽培管理では灌水の多さが特徴だ。吸水性が高く、ほかの品種の倍近い灌水量を必要とする。通常のミニトマトは、吸水量が増えると裂果が心配されるが、裂果が少ない品種のため収穫遅れの心配が少ない。

 「大玉トマトやミニトマトの栽培経験がある方は、灌水の多さに驚く」とJA新いわて宮古営農経済センターの佐々木舟さん。「アンジェレは、水を与えても裂果が少なく、糖度がのりやすい」と話す。

 宮古市田老の扇田友和さんは、21年からアンジェレを栽培する。今年はハウス3棟(4・5㌃)で5月下旬に900株を定植し、7月中旬に出荷が始まった。「へた無し・ばらで出荷するので、出荷作業が楽になった」と扇田さん。

徹底した管理で9割以上をM規格で出荷

 出荷規格はS・M・Lの3段階だが、約9割が販売単価の高いM規格に分類され、規格外品は非常に少ない。果実全体が濃い赤色になってから収穫するため、収穫期を見極めやすいという。

 扇田さんは「契約栽培で販売価格が決まっていて、収入のめどを立てられるので雇用を確保しやすくなる」と手応えを感じている。JA新いわての佐々木さんは「アンジェレの栽培管理は比較的容易なので、新規就農の方にも挑戦してほしい」とPRする。

 


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