【新聞:岩手版】自然災害乗り越え収量・品質を追求

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】自然災害乗り越え収量・品質を追求

[2022年2月2週号]

 【宮古】「品目ごとにどのくらいの収量と収入が得られるか、見通しがつけられるようになった」と話すのは、宮古市の熊谷憲幸さん(41)。市内外の農場で10年間研修し、2016年に就農した。現在は、台風や大雨による被害の経験から被害対策を強化し、各品目の収量と品質の向上に奮闘する。

 熊谷さんは、露地やハウスで一年を通して多品目の野菜を栽培。JAや産直施設などに出荷する。

熊谷さんは令和3年度いわて農林水産躍進大会で、意欲的な農業経営をに取り組む若手生産者に贈られる「明日を拓く担い手賞」を受賞した

 「夏は、露地でスイートコーン(30㌃)の栽培に力を入れている」。一定期間出荷できるように、時期をずらして千粒ずつ播種するなど、収穫作業が集中することがないようにした。また、ビニールハウス5棟(6・5㌃)では夏はトマト、冬はイチゴやシュンギクなどを栽培する。

 独立後の6年間は、さまざまな災害に見舞われた。「就農2年目に、設置して3カ月のビニールハウスが強風で全壊する被害を受けた。『これからだ』と意気込む中での被害だったので落ち込んだ」

共済金を復旧費用に

 この経験から18年に園芸施設共済に加入した。同年10月の台風25号による強風で、ビニールが破ける被害を受けたが、共済金をビニールの購入費用に充てることができたという。

 熊谷さんは、主力品目の春作のブロッコリー(40㌃)が順調に出荷できるかどうかが、1年の流れを左右すると感じている。「定植後の大雨で苗が水没する被害を受けた年は、後作の品目も含めて、見込んでいた収量を確保することができなかった」

 昨年、雨水がたまりやすい転作田の圃場に、溝を掘るなどの排水対策を実施。土壌内への酸素の供給を促す酸素供給剤を施すことで、酸素欠乏による生育不良を軽減している。

 熊谷さんは「栽培のノウハウや売り先のニーズも分かってきた。今後は各品目の収量アップと品質向上を目指したい」と意気込む。


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