【新聞:岩手版】対話重視で多角的に

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】対話重視で多角的に

[2020年8月2週号]

 【盛岡】紫波町稲藤の高橋徹さん(36歳、水稲520㌃ほか)は、「多くの人に新鮮な農産物を届けたい」と奮闘中だ。「PROJECT・N」という企画名で活動し、県内イベントでの対面販売や加工品の開発、SNS(会員制交流サイト)などを活用し、県内外に地元産農産物の魅力を発信している。

「活動名の『N』には、農業(nougyou)と新しい取り組み(new)という意味を込めました」と高橋さん

 髙橋さんは、2015年から消費者との対面販売を重視する活動を開始。「以前、若手農家を対象にした県の取り組みで、農産物の即売会を行う機会があり、自分にもできる、いろいろな企画に挑戦しようと思った」と、県内イベントなどで地元産農産物の野外販売に取り組む。

 また、現在までに自家産米の通信販売や、同町産小麦を使用したケーキの開発なども行った。「食生活の変化や人口減少など、農業を取り巻く状況は変化している。市場や産直に出荷するだけでなく、自ら販売戦略を考えて売り込んでいかなければいけない」と話す。

 売り出す商品や活動内容は、消費者や農家仲間の意見を取り入れて随時見直すという。「対面販売は、お客様と直接対話ができるため、自分の言葉で商品や食べ方の紹介ができるのが魅力」と笑顔を見せる。

2018年の野外販売の様子

新たな連携も創出

 対面販売のほか、協賛企業や農家などとの人脈を広げるため、研修会などに積極的に参加。また、SNSを利用して、県内外に地元産農産物の魅力を発信している。

 「19年には、SNSで盛岡市内の居酒屋が子ども食堂を開催することを知り、自家産米15㌔を提供した」と髙橋さん。「その後、居酒屋と米の取引にも繋がった」と話す。

 高橋さんは「今後も消費者との対話を大切にし、家庭はもちろん、子ども食堂やフードバンクなどで、多くの人が新鮮な農産物を食べられる社会を目指して活動していきたい」と意気込む。


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