[新聞:岩手版]桑の葉で加工品~積極的に販路拡大~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]桑の葉で加工品~積極的に販路拡大~

[2017年9月3週号岩手版]

【一関市】農家民宿「観樂樓」を営む一関市藤沢町の佐藤静雄さん(73)は、栽培する桑葉を原料にした「桑茶」などの加工品を販売している。販路拡大に積極的に励み、現在、東京都にある岩手県アンテナショップ「いわて銀河プラザ」での試験販売に取り組んでいる。首都圏へ足を運んで消費者とじかに交流を重ねるほか、インターネットを活用して自ら情報を発信するなど意欲的だ。

 桑栽培は遊休農地を活用しようと2012年にゼロから始めた。「身体に入るものだから」と農薬を使わずに栽培し、桑畑自体も外部からの農薬飛散を防ぐために、周辺に田畑のない場所を選定した。

 今季は7月末から8月中旬にかけて、近所の人たちの応援も得ながら4日間にわたり葉を収穫。害虫による新芽の食害があったものの、2番芽が順調に生育したことにより桑畑15㌃の収穫量は昨年産を700㌔上回る1,900㌔となった。

農薬を使わずに桑を栽培する佐藤さん

 桑葉は収穫後に時間の経過とともに発酵し、葉の色があせてしまうため午前中に収穫し、その日のうちに北上市の加工所に搬入する。「今年は土づくりの効果が出てきた」と振り返る佐藤さん。同町内には畜産農家が多いため堆肥が手に入れやすく、十分に投入できたことが功を奏した。

 桑葉を加工した「桑茶」「桑パウダー」「桑うどん」は同市東山町の産直「季節館」や平泉町の「道の駅平泉」などで販売する。市が取り組む地域の農産物や特産品を全国に売り込む「地産外商」事業に参加し、首都圏でのPR活動も行っている佐藤さん。東京で出会った食品加工グループに桑葉の魅力が伝わり、新商品の開発につながるなど着実に成果を上げている。

 

桑茶のほか、桑パウダーや桑うどんも手掛けている

 ミネラル成分を多く含み、健康食品としても知られる桑茶。「ノンカフェインなので幅広い世代の人にお勧めしたい。特に食事と一緒に飲むのがいいですよ」と話す。

 

 70歳を超えてからスマートフォンに切り替えた佐藤さん。民宿には外国人客も来ることがあり、スマートフォンの翻訳機能を使ってコミュニケーションを楽しんでいる。「挑戦すればするほど次に挑戦したいことが見えてくる」と笑ってみせる。


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