[新聞:岩手版]ホウレンソウ通年栽培~持続型農業を実践~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]ホウレンソウ通年栽培~持続型農業を実践~

[2016年6月4週号 岩手版]

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一つ一つの作業の積み重ねがおもしろいと石田さん

【一関市】システムエンジニアから異分野である農業に転職した、一関市の石田良知さん(41)は、大型ハウスでホウレンソウの通年栽培に挑戦している。石田さんは安全な農産物を生産するという理念のもと、農薬に依存しない土作りを行っていて、多くの仲間に支えられながら持続型の農業を追い求めている。

仙台市出身の石田さんは就農支援のイベントを通じて知り合った一関市川崎町の農業法人「かさい農産」のもとで2011年4月に就農。研修と準備期間を経た15年3月に独立し、国が支援する「青年等就農計画制度」を利用し、同市花泉町で営農を開始した。

借り入れた休耕田の土地に11棟(計27㌃)のハウスを建てた石田さんは、研修先で学んだ葉物作りの経験を生かし、ホウレンソウを通年で栽培。環境条件に合った野菜作りを目指し、適合品種の研究を試みている。

農薬や化学肥料に頼らない安全な野菜作りを心がける石田さんは、太陽エネルギーにより地温を上げて土壌を殺菌する「太陽熱処理」に取り組む。水で湿らせた床土にビニールを敷き、地表から深さ10㌢の積算温度が900度に至る約20日間、養生することで、病害虫や雑草を防除する。

排水性や保水性に優れた理想の土作りを追求する石田さんは、有機肥料の使用についても、「有用な微生物の働きで土の粒子が細かくなり、こなれてきた」と効果を実感している。

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井戸を掘削し給水設備を備えたハウス

ホウレンソウは播種から30日後に本葉が8枚出そろい、高さ25㌢前後に成長した時点で食べ頃を迎える。棟ごとに順繰りに収穫できる栽培管理で、年間を通して野菜を安定供給できる体制を構築。今年の計画では収穫を7回繰り返すことで、全棟合わせて9~10㌧の収量を見込んでいる。

「一関で出会った人とのつながりが大きな財産になった」と話す石田さん。関係者に感謝の気持ちを抱きながら、この場所でいつまでも農業へ従事していくことを強く望んでいる。


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