[新聞:岩手版]他産地に負けない味を モモ作りに専心

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]他産地に負けない味を モモ作りに専心

[2017年5月3週号岩手版]

【宮古市】「長野県で食べたモモの味にほれて地元でも作りたいと思いました」と話すのは、家族で果樹園を経営する宮古市崎山の山崎慎弥さん(24)だ。4年前からモモを植樹し、丁寧な栽培・園地管理などを行い、甘くておいしいモモを市内から提供していこうとまい進している。

約14種類、約40本(約6㌃)を手がける。

 

山崎さん方は、妻の久美さんと祖父母・父母の6人3世代で、主にリンゴ・モモ・ナシを3・5㌶栽培する専業農家だ。慎弥さんは、県立盛岡農業高校を卒業後、長野県農業大学校へ進学。果樹実科・研究科を専攻し、農業に必要な知識と基本技術などを習得して4年前に就農した。

「長野県で在学中に食べたモモの味が忘れられない」と慎弥さんは、果樹園でモモ栽培を担当し、市内でもその味を再現したいと栽培に力を注いでいる。手がけるのは「あかつき」「川中島白桃」を主に約14種類、約40本(約6㌃)。「どの品種がここの気候や土壌などに適しているかわからないので多品種を試験栽培中です」と話している。

「モモの栽培で最も重要なことは『摘蕾』」と慎弥さん。何個も着く蕾を摘み、着花数を制限する作業を4月中旬~下旬にかけて行っている。「摘蕾は、枝の長さと樹勢に合わせて実を着ける位置と個数を考えながら摘む」と慎弥さん。常に実の成りをイメージして、丁寧に摘蕾している。

一枝に着く果実数を受粉後の摘果で調整することもあるが、5月下旬からモモの種子が硬くなる「硬核期」に入るため、急な摘果肥大は核割れを起こし、品質に影響する。遅延摘果はリスクが大きいため摘果は最小限になるよう、最初の摘蕾えを重視する。

「毛バタキ」で人工授粉作業をする慎弥さん

 園地の雑草管理に苦労しているとのことで、葉の裏面に寄生して吸汁加害するナミハダニを駆除するため、天敵のカブリダニを自然に増やそうと考案中だ。「薬剤を少なくし、安全で安心なモモを提供したい」という思いから、カブリダニが好み、生息しやすい環境をつくるため、雑草の長さや種類、刈る時期を勉強している。

 慎弥さんは「味に妥協せず、主要産地の味に劣らないモモを宮古から発信していきたい」と意欲的だ。


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