[新聞:岩手版]仲間44人と山菜促成栽培~所得増と特産化目指す~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]仲間44人と山菜促成栽培~所得増と特産化目指す~

[2016年4月1週号 岩手版]

2016-04-01-71【洋野町】農閑期の収入源として山菜の促成栽培に励む洋野町大野の下川原重雄さん(62)は、2012年に発足した「洋野町山菜栽培研究会」の会長を務めている。現在、会員44人がウルイ、タラの芽、ギョウジャニンニクの栽培に力を注ぎ、久慈農業改良普及センターの協力を得ながら特産化を目指している。 

「山菜が昔から好きで、無農薬で栽培ができることが作る側も、食べる側も安全・安心でいい」と話す下川原会長は、ウルイとタラの芽「あすは」の促成栽培に取り組んでいる。 

12月から伏せ込み作業を始め、ウルイは1月下旬から3月末ころまで出荷。タラの芽は水耕栽培で1月上旬から出荷するが、電熱線を入れて水温を管理し、天然物が店頭に並ぶまで出荷時期を調節しながら栽培している。

今季は、生で食べられる「サラダウルイ」の栽培に挑戦。日光を一切当てずに栽培したウルイは、薄い黄色で見た目も美しく、シャキシャキした食感で甘味があるのが特徴だ。「苦味が少ないので、サラダや納豆の薬味などいろいろな料理に合わせられるのでは」と消費拡大に期待している。

 会員の生産した山菜は主に同町の「道の駅おおの」内の直売所に出荷。下川原会長は大野産直友の会の会長も務めていて「山菜栽培が冬場の収入源になり、産直の雇用も安定した」と話す。また、「ハウスでの作業は温かく、重労働ではないため、体の負担も少ないので高齢者にもおすすめ」と話し、山菜の促成栽培の普及にも力を注ぐ。 

2016-04-01-72良質な山菜の安定生産を目指して実証栽培を行ったり、久慈農業改良普及センターの指導を受けながら、会員を対象に研修を開催するなど、下川原会長は、栽培技術の向上も図っている。会員は少しずつ増えていて普及につながっているとのこと。 

今後については「今年はタラの芽を現在の35㌃から更に15㌃増やし、JAに出荷して生産販売の安定を図っていきたい」と、新たな出荷ルートの確立に意欲的で、地域農家の所得増と山菜の消費拡大と特産化を目指している。


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