[2018年2月1週号岩手版]
【一関市】昨年12月に横浜市で開催された第8回チャレンジドカップ(同大会実行委員会主催)のパン部門で、一関市大東町大原の障がい者福祉サービス事業所「室蓬館(金野育朗施設長)」のベーカリーチームが銀賞を受賞した。大会で制作した「一関草木ハーブシュトーレン」は予約販売中で人気を集めている。
四木一草がヒント
室蓬館のベーカリーチームは、ドイツの伝統菓子であるシュトーレンを地元ゆかりの食材でアレンジ。江戸時代、一関藩医で山野草の研究者でもあった建部清庵が、栽培を勧めた「四木一草(柿・クリ・ナツメ・桑・菜の花)」に着想を得た。
一関草木ハーブシュトーレンは、この5種にならい、干し柿、クリ、ナツメ、菜種油のほか、桑の代わりに室蓬館の「蓬」にちなみ、生地にはペースト状にしたヨモギを使用。また、世界遺産の白神山地で発見され、耐冷凍性や発酵力に優れた「白神こだま酵母」を用いる。金野施設長(53)は「地元の食材を積極的に活用したかった」と話す。
チームワークが実る
チャレンジドカップは、パン・菓子製造をおこなう福祉施設の利用者と職員がパンと菓子作りの腕を競う大会。17団体が出場し、室蓬館は3大会連続の入賞となった。
大会に出場し、リーダーを務めた丸森優香さん(33)はチームワークを強調する。「具材が表面にでないように折り込んで成型するところが難しかったが、お互いに協力し合い、
おいしくできてよかったです」。指導にあたった主任生活支援員の千田京子さん(53)も受賞を喜ぶ。「大会当日は本当にきれいに焼き上がった。一生懸命頑張る選手たちなので上位の入賞につながりうれしかった」
地域に根付いてほしい
「大会ではおいしさに加えて『地元らしさ』も評価につながった」と金野施設長。「受賞を機に、シュトーレンが地域に根付き、利用者の収入につながるよう支援していきたい」と話す。