[新聞:岩手版]加工用タマネギ 地域の農地守る

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]加工用タマネギ 地域の農地守る

[2017年7月1週号岩手版]

【遠野市】「子供たちを農地が荒れた環境で育てたくない」と話す遠野市宮守町の多田貴博さん(34)は、父から引き継いだ農業経営と耕作放棄地となった田畑を借り受け、新たな作物に挑戦。現在、加工用タマネギの収穫作業の最盛期を迎え、さらなる品質向上と規模拡大を目指す。

タマネギの初収穫を喜ぶ多田さん

 多田さん方では、水稲160㌃と露地ピーマン(トンネル栽培)20㌃、加工用タマネギ40㌃の複合経営を行っている。妻の春奈さん(36)と両親で作業し、家族みんなが働きやすい就業環境とするため家族経営協定を結んでいる。

 会社員だった多田さんは、耕作放棄地が増えてきている状況を見て「子供のころから育った農村環境を守りたい」という思いで3年前に就農。農業は1年に1産の品目が多いため日々勉強とのことで「就農したころは分からないことばかりでした。教わっている先輩農家には感謝の言葉しかありません」と話す。

 地域内の遊休農用地を借り受けて昨年秋に定植した加工用タマネギは、この春、初収穫となった。栽培にあたり花巻市太田地区に視察を繰り返し、勉強を重ねた。「初めての収穫は、やはりうれしいものです。今のところは順調に来ています」と多田さん。

家族で協力して収穫

 市内での加工用タマネギの栽培は多田さんが初めてだ。関係機関からも注目されており、遠野市としても規模拡大を期待しているという。

 地域の担い手として耕作放棄地発生防止に努め、農作業受託も積極的に取り組む多田さんは、その姿勢が高く評価され、今年3月に開催された「第8回遠野市農林水産振興大会」で遠野市農林水産業賞の青年奨励部門を受賞した。

 

 

 今後は、ピーマンとタマネギの品質向上と収量アップを目指す傍ら、苗も自分で作りたいと考えている。「遊休農地の活用を進めながら規模拡大を図り、次世代に伝えられるよう実践するのが目標です。地域の方々に常に支えられていることを忘れず、これからも農業を頑張っていきたいです」と意欲的だ。

初収穫をむかえた加工用タマネギ


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