[新聞:岩手版]品質の維持・向上を追求~商品開発にも意欲

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]品質の維持・向上を追求~商品開発にも意欲

[2016年2月1週号 岩手版]

2016-02-1_51【釜石市】品質の向上と安定生産を目指し、菌床シイタケ栽培に励む釜石市鵜住居町の小笠原哲史さん(34)。地元企業と共同で「しいたけラーメン」を開発するなど、商品開発にも積極的で、農業を楽しみながら6次産業化への挑戦を続ける。

県外で働いていた小笠原さんは、東日本大震災を機に釜石市へ戻ることを決意。「地元へ貢献したい」との思いから、伯父が使っていた栽培施設を活用してシイタケを栽培し、今年で5年目を迎える。

現在、ハウス9棟(約12㌃)、菌床ブロック3万5千個を栽培。年間約30㌧収穫し、主にJAに出荷する。一つの菌床で1年に7回収穫するため、年間を通してパートを含めた10人で作業に取り組む。

就農当初は、出荷に追われ、収量重視の生産をしていたが、現在は良質なシイタケの生産に力を注ぐ。「とにかく、品質を維持するための栽培方法が難しい」と小笠原さん。シイタケは菌床に刺激を与えて発生を促すとのことで「眠っている人をやさしく起こすように菌床を刺激することが大切」と、品質の維持・向上を追求している。

2016-02-1_53また、6次産業に興味があった小笠原さんは、地元の製麺会社である株式会社川喜(川端實代表取締役会長)と共同で「しいたけラーメン」を開発。麺にシイタケの粉末が練り込んであり、シイタケの風味を感じることができる。同社の原田秀範常務取締役は「小笠原さんが希望する『素材が感じられる麺』を作るのには苦労した」と話している。

本格的な商品化に向けて行われた試食販売では「食べたことのない味」「おいしい」などと好評だった。今後は大槌町の産直母ちゃんハウスだぁすこ沿岸店の食堂でその味を楽しむことができ、同産直での販売も予定されている。

小笠原さんは「菌床の仕込みと収穫が重なり、大変な時期もあるが、楽しいし、手をかけた分だけ返ってくる」と、農業にやりがいを感じている。今後は「ハウスの数を増やし、良質なシイタケを生産しながら、加工品の開発にも取り組んでいきたい」と意欲を燃やす。

 

写真(上)=「自分の栽培したシイタケが、お客さんや出荷先に評価されるのはうれしい」と小笠原さん

写真(下)=「しいたけラーメン」


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