[新聞:岩手版]6次化にも力~通年需要に応える~遠野をリンゴ産地に~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]6次化にも力~通年需要に応える~遠野をリンゴ産地に~

[2017年3月3週号 岩手版]

「遠野リンゴの豊かな風味を閉じ込めました」と話す貴之さん

【遠野市】遠野市松崎町でリンゴを栽培する多田貴之さん(36)は、生果の販売だけでなく6次産業化にも取り組み、オールシーズンの需要に応えている。貴之さんは、3年前に「干しりんご」を考案し販売したところ評判となり、昨年秋に加工所を建設。生果と加工品で安定経営と遠野りんごの魅力を発信している。

高校卒業後に専門学校で調理師免許取得し、イタリア料理店に勤めていた貴之さんは、25歳で実家に戻り、現在就農11年目となる。

リンゴ作りは、祖父が松林を開墾した園地でスタート。貴之さんが3代目だ。現在は、リンゴ栽培の2㌶のほか、ハウス6棟で多肉植物(観賞用サボテンなど)やキクを栽培。作業は、貴之さん夫妻と両親の4人が中心で、農繁期には季節雇用も含めた9人で行う。

干しりんごは、「遠野のおいしいリンゴを皆さんに1年を通して提供したい」という思いから、調理師としての経験を生かし3年前に開発。大きさも一口サイズで食べやすくなっているほか、加工するリンゴは、時期によって品種が違うためさまざまな味が楽しめる商品となっている。購入客からは「かめばかむほどリンゴの風味が口の中に広がりおいしい」と好評だ。

干しりんご。道の駅「風の丘」、「遠野市観光交流センター・旅の蔵」、「らら・いわて」で販売

昨年製造した約2千個の商品は半年で完売したため、秋に加工場を建設し乾燥機を2台に増やした。また、贈答用に使ってもらえるよう、パッケージも吟味。ジュース、ジャム、干しりんごのセットは、昨年のいわて国体のおもてなし振舞い品に選ばれた。現在、新たな加工品製造にチャレンジしている貴之さんは「生果の味が悪ければ良い加工品もできない。これからもリンゴ栽培をしっかり行いながら、さまざまな加工品を作っていきたい」と話す。

今後は、リンゴ園地を5㌶まで拡大し、仲間を募りながら、遠野をリンゴ産地に育てたいとのこと。また貴之さんは「子供たちにリンゴ畑での体験学習やリンゴ刈りを通して、一人でも多くの子どもに農業の魅力を伝えていきたい」と話し、現在リンゴ刈りができる園地の整備を進めている。


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