[新聞:岩手版]ICT活用 ミニトマト周年栽培

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]ICT活用 ミニトマト周年栽培

[2018年3月1週号岩手版]

【花巻市】通信機器を製造する株式会社ネクスグループ(本社=花巻市椚ノ目、秋山司代表取締役社長=53)では、2012年に農業ICT(情報通信技術)事業として「ネクスファーム」を設立。ICTのノウハウを生かした環境制御によるミニトマトの周年栽培を通して、農作業の省力化、農家の生産性向上を提案する。

「冬場のスーパーに岩手県の野菜が並ぶのが目標です」と話す秋山社長(右)と菅野副部長

 「農業担い手の減少や農業所得の向上に、当社の技術が生かせると思った」と秋山社長は、自社敷地内にビニールハウスを建設した。現在は12棟(約0.5㌶)を管理し、ミニトマトをはじめ、イチゴや食用ホオズキなどを栽培している。

 ネクスファームでは、複数のポット(鉢)に定植する「多段式ポット栽培」を採用。ハウス内の耕起作業が不要となり、大幅な労力軽減を実現した。

 ミニトマトは2段式のポットで栽培。根の成長に合わせて養分が効果的に作用するよう、それぞれのポットの土壌に最適な成分を配合している。「化学的に解析して必要最小限の土や肥料を使用している。追肥作業が不要で、水やりだけで初心者でも栽培できる。連作障害の心配もない」と秋山社長は話す。

 ハウスには自動制御システムを導入した。ハウス内のセンサーが温度や日照量などを常に計測し、情報をコンピューターに送信。遮光カーテンや天窓、換気扇などが自動で作動し、ハウス内を生育に適した環境に保つ仕組みだ。灌水も点滴潅水として自動制御されている。

 事業開発部の菅野勉副部長(51)は「人手が掛からず、収穫作業に専念できるので効率的」と話す。ネクスファームでは農業に従事する社員2人とアルバイト6人で、すべてのハウスを管理している。

 また、ミニトマトはハウス10棟で栽培。5棟ごとに時期をずらすことで周年栽培を実現した。秋山社長は「供給量が少ない冬季でも販売できるので収益性も高い」と手応えを感じている。「農家の皆さんにこの技術を広めたい。見学会も開催しているので、ぜひ参加してください」と呼び掛けている。

多段式ポット栽培。「水稲育苗後のハウスを有効に活用できます」と秋山社長

環境の変化に応じて自動で開閉する遮光カーテン


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