[2022年2月4日]
県内の園芸施設共済加入者に被害の経験や現在の対策を聞きました。育苗ハウスなどの被害に備えて、園芸施設共済に加入しましょう。
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「継続加入でリスクの軽減に」
遠野市・立花利夫さん(68)
天候に左右されずにピーマンを栽培するため、2020年の11月末にハウス5棟を新設しました。
ハウスの周囲は風よけになるような山や建物などが無く、被害で営農計画や収入に支障が出てしまうのは、組合を経営する上で大きなリスクだと考えました。そこで、NOSAI職員に特約などを含めた制度の説明や試算をしてもらい、21年の1月に園芸施設共済に加入しました。
加入初年度ということもあり、付保割合追加特約や小損害不填補1万円特約など、手厚い補償を付けました。特に、付保割合追加特約は新築時の価格まで補償(※)できるところが魅力的ですね。
(※新築時1年目に限ります。2年目以降は、時価額となります。)
風を逃がす工夫と補強
2月に低気圧による強風で、加入したハウス5棟が被害を受け、そのうち1棟が全壊しました。壊れたハウスを見たときは言葉を失い、改めて自然の恐ろしさを感じました。
被害のショックで無気力状態になってしまいそうでしたが、園芸施設共済のおかげで再建することができました。現在は、風を逃がすためにハウスのドアの開閉の工夫や補強をしています。
私たちの組合では、来年度もピーマンや水稲、大豆の栽培を続けるので、園芸施設共済に継続加入しました。加入が組合経営のリスク軽減の一助になればと思います。
▽農事組合法人遠野こがらせ農産代表理事組合長、構成員数185人、水稲80・6㌶、大豆36・2㌶、飼料用米2・9㌶、WCS(発酵粗飼料)用稲4・8㌶、飼料用作物8・2㌶、ピーマン8㌃
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「安心して苗を供給するため」
軽米町・寺澤正幸さん(68)
1997年に晴高地区営農組合で水稲の育苗栽培を始めました。園芸施設共済には、営農当初から加入しています。
さまざまな自然災害がありますが、3月下旬から6月は強風が吹くことが多く、ハウスの倒壊などによる苗の被害が特に心配です。
2014年2月に記録的な大雪が降り、所有するハウス5棟が倒壊しました。雪の重みに耐えられるようにハウス設置時からアーチパイプをタイバーで補強していましたが、それでも倒壊を防ぐことができませんでした。共済金を受け取ることができ、早期に復旧作業に取りかかれたのでとても助かりました。
昨年、高齢化による担い手不足を解消するために、農事組合法人を設立しました。現在は、軽米町内外の生産者約190人から委託を受けて、ハウス30棟で約2万2千箱(100㌶)の育苗を行っています。
ハウスは通年でビニールを被覆しているため、日頃から自分たちでできる災害対策をとっています。
多くの生産者の育苗を請け負っているため、より安心して栽培ができるように、これからも園芸施設共済に加入したいと思います。丈夫な苗を栽培して、地元の米農家に貢献していきたいです。
▽農事組合法人晴高代表理事、構成員数34人、育苗100㌶
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「予測不能の自然災害に備え」
奥州市・高橋直志さん(72)
1971年に就農し、現在は水稲を栽培しています。育苗用ハウスとして6棟を設置していましたが、2020年12月の大雪により、そのうちの5棟が倒壊しました。
隣のハウスとの間隔が狭かったため、屋根面から側面に落ちた雪が積み上がり、ハウス全体を雪が覆ってしまったことが原因でした。
雪が3日間降り続いたため、除雪が間に合わず、ハウスを眺めている私の目の前で倒壊しました。当時のショックは今でも忘れられません。
園芸施設共済に加入していたので、すぐにNOSAIに連絡しました。まだ雪が降る中、職員が確認に来てくれたので、解体する予定を立てることができました。育苗に間に合わせることができてよかったです。
パイプ太く、間隔広く
現在はハウスを4棟に減らし、パイプを太いものに変えて、ハウス間の間隔を広くしました。
農業経営は、自然災害などの予測できないリスクを避けては通れないと思います。そのようなリスクに備えるために、園芸施設共済はなくてはならないものです。これからも、備えの一つとして加入していきます。
今後は、地域の農業を守るため、後継者を育てることに取り組みたいです。
▽水稲5㌶、育苗ハウス4棟