【新聞:岩手版】EM農法に手応え

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】EM農法に手応え

[2022年2月3週号]

 【磐井】一関市藤沢町の「唐沢いちご農園(唐沢宏之代表=58歳、従業員2人)」では、ハウス10棟(25㌃)で「おいCベリー」や「さちのか」を栽培する。EM農法と完熟イチゴの収穫を徹底し、農園のイチゴを使った加工品の製造・販売にも取り組む。唐沢代表は「消費者においしいイチゴを楽しんでもらいたい」と、日々の作業に力を注ぐ。

 茨城県で会社勤めをしていた唐沢代表は「都会を離れ、田舎で農業に取り組みたい」と、農業への挑戦を決意。同町の農家に技術指導を受け、1999年に就農した。

 「先輩農家の育てたイチゴが今まで食べたことがない甘さで、このようなイチゴを作ってみたいと思った」と、就農当初からEM菌を使った栽培と完熟イチゴの収穫に取り組む。

「家族で1年かけてイチゴを育てている」と話す唐沢代表と妻の仁美さん(左)

 EMは、乳酸菌や酵母など人間にとって有用な微生物の集まりを指す。同農園では、苗作りや定植など、あらゆる作業の際にEM菌を散布する。

 「実が大きくなり、濃厚なイチゴができる。日持ちが良くなるという思わぬ効果もあった。完熟のイチゴだけを収穫するので、甘味が増して栄養価が高い状態で消費者に届けることができる」

地中を50度以上に

 連作障害対策として、太陽熱養生処理を施す。収穫が終わり新たな株を定植する前に、圃場の地中温度を50度以上に上昇させることで、地中の病原菌や害虫を駆除する。

 イチゴの生育に適した室温である20度に近づけるため、ハウスは厚いビニールで二重構造にした。「冬の晴れた日には内張を開けて太陽光を取り込み、生育を促している」

 同農園では、イチゴを使ったプリンやジャムなどの加工品を製造・販売する。「イチゴをたっぷり使っている。私たちが育てたイチゴの味を楽しんでほしい」と笑顔を見せる。


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