【新聞:岩手版】仲買入れずに食肉販売 羊で地域を元気に

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】仲買入れずに食肉販売 羊で地域を元気に

[2024年4月3週号]

下大桑ヒツジ飼育舎の会構成員の阿部さく子さん(72)方では3月14日に雌2頭が生まれた

 【磐井】一関市萩荘下大桑地区の「下大桑ヒツジ飼育者の会(桂田清会長=85歳)」では、サフォーク種の羊15頭を飼育する。同会事務局長の桂田勝浩さん(59)は、「休耕田の管理のために羊の飼育を考えたのが始まり。羊で地区を盛り上げたい」と力を込める。

 同会では2016年に、休耕田の雑草対策を目的として、研修で訪れた奥州市の「梁川ひつじ飼育者の会」からサフォーク種の羊5頭を購入した。

 基盤整備事業が進み休耕田はなくなったが、現在は同地区内の農業高校の実習田だった場所を利用して雄2頭、雌13頭の羊を放牧。5月から秋口までは雄と雌を分け、発情を迎える秋以降は同じ群れで管理する。

 「羊は我慢強いので、病気による異変が出てきて気が付くのでは遅い」と桂田さん。「病気の際、対応できる獣医が少ないので、日ごろから注意深く観察している」

 子羊は食肉にするため、同会構成員の家で飼育。桂田さんは「放牧して牧草を食べさせると、放射性セシウムなど多くの検査が増えるので、業者から購入した乾牧草と濃厚飼料を与える」と話す。

県内外に販路確保

 子羊は体重が50㌔を超す10月から11月に出荷し、枝肉を同会で販売。同市内のホテルや洋食店のほか、青森市のジンギスカン店や愛知県名古屋市の羊肉専門店へ提供する。仲買を入れないので流通経路が短縮され、価格を抑えた新鮮な肉を提供できるという。

桂田さんはムートンも取り扱う

羊毛の販売も

 また、羊毛は毛織物の原料として、盛岡市のホームスパン業者に提供するほか、「汚れた羊毛にはイノシシなどの害獣を寄せ付けない効果がある」とする大船渡東高校の生徒の実証実験にも協力する。

ジンギスカン店地域に開きたい

 桂田さんは「将来的には下大桑にジンギスカン店を開きたい。羊毛や羊皮を使った商品も展開したい」と意気込む。


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