[2022年10月3週号]
【北部】洋野町大野の宇名澤賢志さん(43)は、パート雇用の5人とともに矮性の葉ボタンなど観賞用鉢花をハウス4棟で栽培し、年間20万本を八戸市場や地元の産直を中心に出荷する。卸先が求める品質を維持しながら、販路拡大や新たな作目の栽培で安定経営を目指す。
宇名澤さんは2006年に就農し、ハウス2棟で鉢花栽培を開始。その後は棟数を徐々に増やし、08年に現在の棟数まで拡大した。秋以降の出荷に向けて矮性葉ボタン1万4千本、シクラメン2500本、ビオラ2万本の栽培に取り組む。
シクラメンは3月に苗を購入し、11月に出荷時期を迎える。花の見た目や大きさを整えるため、20㌢ほどの長さに切った針金をリング状に成形し、株の中心部に設置。つぼみが中央、葉が外側になるように絡ませていく「葉組み」をする。「株の中心部に日光を当てて葉の成長を促し、新葉を増やす。株の成長に合わせて直径を簡単に変えられるように針金を使う」と宇名澤さん。
露地とハウスで栽培する矮性葉ボタンは7月上旬と中旬に分けて播種し、10月初旬から出荷が始まる。「卸先の在庫状況で単価が変化するため、一度に出荷して安値にならないよう、播種時期をずらし出荷数を調整する」
市場だけではなく、産直や小売店に足を運び、販売ルートを開拓するという。「鉢花全体の市場相場は安定していて、変動しにくい。自分で価格交渉をして、卸先を増やしたい」
鉢花の出荷が落ち着く8~9月の収入源を確保するため、今年はトウモロコシ2㌶と切り花5千本の栽培を始めた。宇名澤さんは「その年の経営状況に合わせて栽培品目を選定する。鉢花を中心に安定した経営を目指したい」と話す。