[2020年4月3週号]
【東南部】大船渡市大船渡町の株式会社THREE PEAKS(スリーピークス)では、ブドウ栽培からワインやジュースの製造までを自社で展開し、販路拡大に取り組む。三陸沿岸地域にワイン造りという新しい文化を根付かせるため奮闘している。
代表取締役の及川武宏さん(40)は、東京都内のコンサルティング会社に勤めていたが、東日本大震災後に帰郷した。
「15年ほど前から地方で何かできることはないかと考えていた。海外に約1年間行っていたとき、ワイン農家でブドウ栽培に関わる作業を体験し、田舎町のライフスタイルなどを見て、ゲストハウスやワイナリーの起業を思いついた」
本格的なブドウ栽培は2014年から始め、現在は同市猪川町でブドウ40㌃、陸前高田市米崎町でリンゴ1・3㌶を栽培し、自社のワイナリーで加工・販売する。「全てがゼロからのスタートだったため、栽培方法などを地元の先輩農家などからアドバイスをもらって参考にしている」
ゆっくりと低温発酵
ブドウ栽培では、スズメバチの被害などで苦労しているという。「良品質の商品をお客さまに届けるため、手で一つ一つチェックしながら収穫しているが、スズメバチがブドウの果実を刺してしまう食害対策に頭を悩ませている。ワインを無事に出荷できるとうれしい」と笑顔を見せる。
ワイン用品種「シャルドネ」のワイン「Chardonnay2019」は、「爽やかな香りと穏やかな酸味が特徴。ゆっくりと低温発酵させることがポイントです」と話した。
「県内の飲食店や自社のオンラインショップなどで販売している。また、自ら営業に赴き、県外にも出荷している」と及川さん。今後について「今の商品の品質をより高めていきたい。そして、このワインが三陸沿岸地域の一つの文化として根付くように頑張りたい」と話した。