[2019年12月1週号]
【宮古】10月12日の台風19号の接近に伴う河川の氾濫で、宮古市津軽石の伊藤壽雄さん(68)の倉庫が浸水。収穫後に保管していた米や乾燥機が被害を受けたが、山田町豊間根の木村良一さん(71)と佐々木清一さん(64)、佐々木茂さん(61)が所有する乾燥機で米を再び乾燥し、無事に出荷することができた。
伊藤さんは宮古市払川地区、木村さんと佐々木清一さんはそれぞれ山田町豊間根の勝山地区、下田名部地区の共済部長を務める。伊藤さんは「共済部長会議などで顔を合わせることが多い。茂さんとは米農家として長年の付き合いがあった」と話す。
「大雨で自宅も水没していたので、離れた場所にある圃場の見回りができなかった。知人からの連絡で被害が出ていることを知った」と伊藤さん。自宅からおよそ600㍍離れた倉庫が浸水した。水位は約85㌢の高さまで到達し、9月の収穫後に保管していた1袋約800㌔のもみ55袋のうち、27袋が水に漬かった。「作業受託分のもみも水に漬かった。乾燥機も水没して動かないし、どうすればいいのか分からなかった」と振り返る。
「大丈夫」とアドバイス
「木村さんから『水に漬かっていた時間はそれほど長くないから、もう一度乾燥すれば大丈夫』とアドバイスを受けた」と伊藤さん。すぐに清一さんと茂さんに米の乾燥を依頼して、3人がそれぞれ所有する乾燥機で、14日の夕方から乾燥作業を始めた。
清一さんは「ムラが出ないように、低温設定で通常より時間をかけて乾燥した」と振り返り、茂さんは「被災しなかった私たちが協力するのは近所付き合いの一環」と話す。
伊藤さんは「再乾燥したした米は米穀検査を受け、無事出荷することができた。3人には本当に助けられた。今回の台風で農家同士の助け合いの関係を再確認できた」と感謝する。