【新聞:岩手版】加工品で市場開拓

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】加工品で市場開拓

[2020年4月2週号]

 【宮古】宮古市田老の「しあわせ乳業株式会社」では、2017年からヤギの飼育を開始し、現在は生産から加工、販売にも取り組む。ヤギの餌には牧草だけを与えるため、ミルクには臭みが少ないという。同社の代表を務める佐藤力さん(48)は、規模拡大のほか食肉事業や観光牧場の展開も視野に、ヤギミルクの産地形成を目指す。

「ヤギは人懐っこくかわいいです」と佐藤さん

 同社では、40㌶の放牧地で50頭ほどの乳牛などを飼育してきた。現在は乳牛のほか、乳量が多い日本ザーネン種と乳脂肪率が高いアルパイン種のヤギ合わせて300頭ほどを飼育している。

牧草給与、臭み少なく

 ヤギの飼育は、穀物飼料を与えず牧草だけを与える「グラスフェッド」という飼育方法を取り入れた。1日2回の搾乳で、1頭当たりの乳量はおよそ2㍑。佐藤さんは「ヤギのミルクは癖があるといわれるが、グラスフェッドなので、臭みが少なくておいしい」と笑顔を見せる。

 出産は4月がピークで、今年は120頭ほどの出産を見込む。「雄のヤギは3頭飼育している。自然交配による自家繁殖も進んできた。牧場で生れたヤギも順調に成長している」

ヤギミルクを使用した「しあわせプリン」

自社店舗もオープン

 佐藤さんは「ヤギミルクは市場が確立されていないので、売り先が限られている。市場を開拓するため、自社店舗を展開した」と話す。19年に加工品を販売する店舗を市内にオープンした。ヤギミルクを使用したプリンや菓子、タピオカミルクティーなどを販売し、中高生にも好評だという。

 日本一のヤギミルク産地の形成を目指し、ヤギの食肉事業や観光牧場も視野に入れている。「しあわせ乳業独自の飼育方法を確立したい。牧場で自家繁殖できるところまできたが、規模拡大には放牧地の確保が課題。ヤギを目当てに全国の人が宮古に訪れる環境をつくりたい」と意気込む。


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