【新聞:岩手版】増える注文、売れる真空パック

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】増える注文、売れる真空パック

[2020年8月1週号]

 【北部】一戸町中山の坂松農園では、2011年に葉タバコ栽培からトウモロコシ栽培へ経営転換した。葉タバコ栽培に使用した機械を活用で、初期投資額を抑えることに成功。病虫害対策を徹底し、寒暖差を生かした高品質のトウモロコシを独自ブランド「いわて奥中山坂松農園奥いちきみ」として販売している。

 「トウモロコシは栽培しやすいので年々規模拡大した」と話すのは、園主の坂松一夫さん(58)。現在は、妻の百合子さん(57)とともにトウモロコシ12㌶をはじめ、水稲やハクサイ、ハウス(1・3㌃)で花苗を栽培する。

葉タバコ用の簡易移植器にトウモロコシ苗の定植に使用

 トウモロコシは高畝にしてマルチ栽培を採用。坂松さんは「マルチ内の温度が上がって苗の育ちが良くなる。高畝にするとすす紋病になりにくいと感じるし、台風で幹が倒伏しても畝に倒れるので、トウモロコシは汚れず収穫できる」と話す。

 葉タバコ用の簡易移植器や高畝機などはそのままトウモロコシ栽培に活用した。「経費を最小限に抑えることができた」

加工しても甘みを維持

 トウモロコシは、県内外のスーパーなどに出荷されるほか、インターネットでも販売する。リピーターも多く、受注も増えているという。「日中と夜の寒暖差が激しいこの土地で育つことで、甘みが強く、とてもおいしくなる」

真空パックは昨年3000本を完売

 一度ゆでて真空パックにした商品も展開する。「材料は2Lサイズのトウモロコシと食塩だけ」。そろった粒と鮮やかな黄色が特徴だ。「加工しても味が損なわれていない自慢の商品。クリスマスシーズンにはよく売れる。年中おいしく食べてもらいたい」

 今後について坂松さんは「障がい者施設の利用者さんなどにも助けられているが、繁忙期の雇用の確保が課題。現状を維持しながら、味に特化したトウモロコシを作り続けたい」と話す。


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