[2020年12月1週号]
【磐井】「そばを地域おこしのきっかけにしたい」と話す一関市室根町折壁の小山安男さん(60)。2015年から休耕田と牧草地で秋ソバの栽培を始めた。倒伏に注意しながら年々増やしている。収穫したソバは、室根総合開発株式会社(及川豊代表取締役)が加工・販売。生産量をさらに増やすため、室根町の遊休農地活用を視野に入れる。
冷涼な気候を生かす
現在は8月に播種した秋ソバ50㌃を栽培する。「町内でソバを栽培する農家が少なかったので、挑戦してみようと思った。はじめは夏ソバも栽培していたが、鳥に食べられて収量が減少した。現在は、秋ソバだけを栽培している」と小山さん。「室根町は夏場に『やませ』が吹く。冷夏をもたらす厄介なやませをプラスのイメージに変えたいと思った」と話す。
栽培では、特に倒伏に気を付けているという。「肥料を与えすぎないようにしている。台風が一番の大敵」。今年は220㌔の玄ソバを収穫した。「去年よりも出来がいい。収量が毎年増えている」と笑顔を見せる。
十割そばの特産化へ
収穫した玄ソバは、小山さんが勤務する室根総合開発株式会社が買い取って加工。「小麦アレルギーの人にもおいしく味わってもらえるように」と、十割そばにして地元の「道の駅むろね」で販売する。また、同社が管理・運営する宿泊施設「大東ふるさと分校」の食堂のメニューでも提供する。
現在は生産量が不足しているため、一部は県産のそば粉で補っているという。小山さんは「室根町内の遊休農地をソバの栽培に活用したい。会社の特産品開発事業の一つとして、栽培から加工、販売までを担って、室根町産のそばとして販売できれば。『室根にはおいしいそばがある』とみなさんに思ってもらえるように頑張りたい」と意気込んでいる。