[2023年9月3週号]
【東南部】「5年計画に沿って経営を安定させ、基盤をつくりたい」と話すのは、陸前高田市小友町の合同会社Hs farmの千葉勝久代表(47)。従業員6人とともに同市の振興作物のイチゴ栽培に取り組み、産地化とブランド化を目指す。
同市出身の千葉代表は地元の高校を卒業後、県外で働いていたが、祖父の体調不良がきっかけで2009年に帰郷。16年にJAおおふなとアグリサービスのイチゴ部門で、イチゴのほかトマト、パプリカの栽培に従事した。
「帰郷した当時、自分が農業をするとは思っていなかった。同じ作物でも品種によって育て方が違うところが、大変というより楽しいと思った」と千葉代表。21年9月に独立し、個人事業として会社を立ち上げ、22年4月に法人化した。
現在、1棟約40㌃のハウスで「紅ほっぺ」を2万8千本栽培する。廃液が出ず環境に負荷をかけない閉鎖型高設栽培システム(岩手県が特許を取得)を導入した。7月上旬から9月上旬にかけて育苗と定植の準備を進め、9月中・下旬に定植。12月から翌年6月が収穫期間だという。
加工品販売を視野に
千葉代表は「昨年は年間で約15㌧収穫し、県の10㌃当たり平均収量を上回った。品種を一つに絞り、管理方法を統一できたことが良かったと思う」と話す。出荷先はJAおおふなとのほか、沿岸部を中心としたスーパーや市内の洋菓子店に卸す。
「従業員を抱えているので、まずは経営を安定させたい」と千葉代表。今後はイチゴソースや果汁100%のジュースなどの加工品販売を視野に入れる。「岩手のイチゴ産地といえば陸前高田市となるように、市内のイチゴ農家と交流や情報交換をしながらブランド化に取り組みたい」と話した。