[2023年6月2週号]
【中部】「農業は自分のアイデア次第で自由に取り組める」と話すのは、花巻市矢沢の大信田真史さん(41)。同市内の農業生産法人から独立して就農し、ビニールハウスでピーマンとアスパラガスの栽培に取り組む。自らの営農スタイルを模索し、規模拡大と収益増加を目指して試行を重ねる。
周囲の支えに助けられ
大信田さんは同市内の農業生産法人を2020年に退職後、岩手県立農業大学校に1年間通い、22年に就農した。昨年、栽培面積を増やし、現在はハウス8棟で栽培する。
大信田さんは「たくさんの先輩農家から農業を学ぶうちに、自分に合ったやり方で自由に農業をしてみたくなった」と話す。
就農時、ハウスのパイプや農機具、灌水装置は農業生産法人に勤めていたときの知人や離農した農家などから譲り受けた。「今年は補助金を利用して農機具を買い替えた。周りの方や補助金制度に助けられている。本当にありがたい」。ハウスは強風対策の補強を施した上で、園芸施設共済に加入して備えているという。
自分に合う農業を模索
今年は自動換気装置を導入した。ハウス内を適温に保つため、設定温度を超えるとハウス側面のビニールが巻き上げられる仕組みだ。「1棟ずつ温度管理をするのが大変だった。装置の導入後、ほかの作業や休憩に時間を取れるようになった」と笑顔を見せる。
一方で、機械に頼ったための失敗があった。自動灌水装置の設定を誤り、一部のハウスに水が行き届かなかったという。「まさか装置の設定ミスだとは思わなかった。便利だが、人の目で確認することが必要だと痛感した」
大信田さんは「自分に合った農業のやり方を探しながら、規模を拡大して売り上げを伸ばしたい」と意気込む。