[2022年12月1週号]
【胆江】奥州市胆沢小山で肉用牛を飼養する芳賀俊甫さん(30)。リゾートホテルで板前をしていたが、畜産農家の父・二郎さんの後継者となるため、2年前にUターン就農した。繁殖経営を基盤に、肥育や食肉販売を構想するなど、一貫した牛の飼養を目指して意欲的に取り組む。
芳賀さんは繁殖牛23頭、子牛10頭を飼養する。奥州農業改良普及センターの助言で、国や奥州市の補助を受けて2020年に就農した。
「畜産経営と牛舎建設に対する補助金を受けることができた。牛舎の建設費用の3分の1ほどを補助金で賄えたので、非常に助かった」と話す。今後は地元で使われなくなった牛舎を借りて牛を飼養する構想があるという。
現在は繁殖経営が主になっているが、将来は肥育にも取り組むことを考えている。「市場の子牛は、どのような育ち方をしてきたのか見ただけでは分からない」と芳賀さん。「自分が育てた子牛は自分が一番よく知っている。飼料の与え方など、適切で効率的な管理で肥育できると思う」と話す。
飼養コストの大部分を占めるのが飼料代だ。価格高で負担が特に増えているという。芳賀さんはコストを抑えるため、食品などを作る際に残るビールかすやおからなどで作られたエコフィードを導入した。エコフィードは、規格外農産物や売れ残りの食品などをリサイクルして製造する飼料のため、安定した価格と供給が見込める。「環境に配慮され、かつ安価な飼料をなるべく使用したい」
自分が育てた牛の食肉販売が夢だという芳賀さんは「肉は切った部分から酸化して味が落ちる。ブロックをその場でさばき、肉が持つ本来のおいしさをたくさんの人に提供できる店を持ちたい」と意欲的だ。