[2020年2月3週号]
遠野市附馬牛町の小出集落では、耕作放棄地の解消と景観美化を目的に、中山間事業を活用して栽培した菜の花から搾った「早池峰なたね油」を販売する。活動を通して、地域住民とのコミュニケーションの一環としても機能しているという。
同集落では、高齢化と担い手不足のために耕作放棄地の増加が問題となっていた。そのため、同集落16戸が協力し、いわて中山間地域いきいき暮らし活動支援事業を活用して、耕作放棄地となっていた畑約50㌃に菜の花の栽培を2017年10月から始めた。
同集落の佐々木良一さん(70)は「18年は約850㌔の種で、200から300㌔の菜種油を抽出しました。昨年は、鳥害や菜の花の生育にバラツキがあり刈り取りのタイミングが難しかったため、種の収量が500㌔と少し落ちてしまいました」と話す。
獣害や連作障害対策も
同事業では、耕作放棄地の解消だけでなく景観美化にも取り組む。同集落の佐々木勝郎さん(69)は「国道から見える畑に菜の花を栽培しているので、花が咲いたときはとてもきれいです。しかし、カモシカによる被害に遭ったため、電気牧柵や防獣ネットを張りました」と話す。栽培開始から3年目になる今年は、連作障害への対策も考えているという。
菜の花は早池峰なたね油として加工。道の駅遠野風の丘、遠野市観光協会売店などで販売している。農薬を使わず栽培しているため、天ぷらだけではなくドレッシングやお菓子作りなど幅広く使うことができ、コクのある味わいが特徴だ。
今後について佐々木良一さんは「同事業では菜の花の栽培だけではなく大豆も栽培しています。作業には集落の人達が手伝ってくれますよ。地域住民のネットワークやコミュニケーションとして続けていければいいですね」と話した。