【新聞:岩手版】菌床キクラゲ 通年出荷に挑む

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】菌床キクラゲ 通年出荷に挑む

[2020年4月1週号]

 【盛岡】矢巾町煙山でキクラゲの菌床栽培に取り組んでいる晴山千代さん(59)。キクラゲは、生育に必要な温度と湿度が高く、夜間や冬場も一定の環境を保つ必要がある。晴山さんは、冬場の収量を増やすことで、年間を通して安定した出荷を目指す。

「炒め物やみそ汁など、いろいろな料理で楽しんでもらいたい」と晴山さん

 晴山さん方では、もともとシイタケを栽培していたが、2016年からキクラゲの通年栽培を始めた。母の佐々木こよさん(83)と2人で、実家のハウス1棟で栽培に取り組んでいる。

 「東日本大震災の影響で、機器が壊れる被害や価格低下などもあり、シイタケ栽培を続けることの難しさを感じた。新しいことに挑戦したい気持ちもあり、キクラゲ栽培に切り替えた」

 現在は、主に地元の産直施設などへ出荷するほか、矢巾町の学校給食へも提供している。

 「食物繊維や鉄分などの栄養が豊富なキクラゲは、調理が簡単。いろいろな料理に合うので、多くの人に食べてもらいたい」

ハウス内を高温多湿に

キクラゲの菌床

 キクラゲは生育温度が高いことから、ハウス内は高温多湿に保つ必要があるという。「寒暖差が必要なシイタケとは栽培方法が異なることが多い。特に冬場は、温度と湿度の管理に苦労する。常に20度前後に保ちたいが、灯油代を考え、夜の温度は16度ほどにしている」

 1時間に1度の自動灌水で一定の湿度を維持し、定期的に換気も行う。「灌水や換気を行うと、温度が下がってしまう。良質なキクラゲを栽培するには、ハウス内の条件を、こまめに確認する必要がある」

 晴山さんは「試行錯誤を重ね、キクラゲ栽培に徐々に慣れてきた。冬場の需要は高いため、年間を通して安定した収量を目指したい」と意気込む。


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