【新聞:岩手版】農業は本当に楽しい

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】農業は本当に楽しい

[2023年3月2週号]

「毎日朝5時から牛の世話を楽しんでいる」と佐々木さん

 【胆江】奥州市水沢真城の佐々木琢也さん(31)は今年1月、農業に意欲的に取り組む地域の青年を表彰する「胆江地方農業青年奨励賞」を受賞した。「農業はどの作業も本当に楽しい」と、牛の健康管理に力を入れ、安定した経営を目指している。

 佐々木さんは紫波町出身。県立農業大学校を卒業した後に勤めていた会社を2017年に退職し、肥育農家だった義父の後を継いで畜産を始めた。「就農した当時は子牛の価格が高く、繁殖経営への転換に挑戦するのが面白そうだと思った」と話す。

 現在、繁殖用肉牛20頭、子牛18頭を飼養する。「実家は稲作と繁殖肉牛の複合農家だった。小学生のころから手伝いをしていて、農業は楽しいなと思っていた」。今では楽しさのあまり、牛舎で一日中過ごすことがあるという。このため「牛の様子の変化に気付きやすい」といったメリットがある。

ネットとファンを設置

 就農1年目に、生後2カ月の子牛が白筋症になった。下痢で栄養が吸収できず、筋肉が徐々に破壊されて白くなる病気だ。「つらい経験から、子牛の下痢対策を勉強して、白筋症の予防注射を欠かさずするようになった」

 ほかの病気予防にも気を配る。白血病などを媒介するサシバエやアブなどの吸血昆虫の侵入を防ぐため、牛舎の開口部にネットを張り、送風ファンを設置するなどの対策を講じた。「特にアブは口器が大きく、ほかの牛に移る間に口元に付いた血液が乾燥しにくく、病気を媒介しやすいため、注意が必要」

 現在、胆江地域肉用牛青年担い手協議会の副会長を務める。「まずは一年一産に取り組み、安定した畜産経営を目標にしている。これからも楽しみながら農業をやっていきたい」と笑顔で話す。


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