[2020年10月2週号]
【磐井】「化学肥料に頼らずに作った野菜が食べたいと思った」と話す一関市藤沢町の三浦克男さん(79)は、土壌環境を整え、作物の質を高める働きがあるEM農法を取り入れて野菜などを栽培する。また、咋年から新たに種なしピーマン「タネなっぴー」に取り組み、栽培面積の拡大を目指す。
三浦さんは「化学肥料を使わずに、畑の土をより自然のものに近づけることで作物がよく育つのではないか」と考え、23年前にEM農法を取り入れた。現在は、マコモタケを20㌃、野菜は50㌃で栽培していする。
EMとは、有用微生物群を指し、乳酸菌や酵母、光合成細菌など、人間にとって有用な微生物の集まりのことをいう。
三浦さんは、作物の成長を促すためEM活性液を直接散布。また、EMと糖蜜に、米ぬかや発酵促進剤などを混ぜたEMボカシと堆肥で土壌を整える。
「EMボカシは、もともと土壌に含まれている微生物を活性化し発酵させる役割を持っている。発酵した微生物は、有機物となって栄養分に変わる」と三浦さん。「EMによって微生物が活性化した土は、通気性と保水力に優れていて、虫がつきにくく、病気にかかりにくい。そのため、農薬による消毒をしなくなった」と話す。
昨年からはタネなっぴーの栽培を始めた三浦さん。「タネなっぴーは種が無いため調理の手間を省ける。また、従来のピーマンと比べて、肉厚でみずみずしい品種だ」と話す。今年はハウス1棟で30本を栽培し、来年は栽培面積を増やす予定だ。
「EMの活用で作物に甘みが出て、色も良くなる。品質も良くなり長持ちするので、これからもEM農法を続けていきたい」と話す。