[2021年12月1週号]
【胆江】奥州市江刺梁川の菊池健弘さん(51)は、2・5㌶の敷地に「丹沢」など11種のクリの木を約300本定植し、わい化栽培に取り組む。木の管理が楽になり、収量が増えたという。収穫したクリは、銘菓「岩谷堂羊羹」で知られる株式会社回進堂(菊地清代表取締役社長)の「栗ようかん」に使用されている。
クリ栽培は、菊池さんの父・功さんが56年前に始めた。6年前に引き継ぎ、現在は家族や弟夫婦に手伝ってもらいながら収穫する。
クリは水の管理が大切だという。「受粉後の春に雨が降らないと、土壌に水を含むことができず、実が大きくならない。雨が降るかは自然に任せるしかないため、その年の天候によって収量が決まる」
収穫前の台風にも注意が必要だという。「台風の風でクリが落とされたことがあり、一定の量を出荷することができず、納品数が減少したことがあった」
わい化栽培を採用したのは、効率よく栽培するためだ。「樹木の高さを低くするので、木の管理がしやすい。また、結実性が高まるため、実が大きくなり、収量が増えるなどのメリットがある」。
クリは、熟して木から落ちた実を収穫する。翌日に出荷するために、直径2㌢以下の実は規格外として除くなどの選別作業に、午後10時までかかることがあるという。
老舗の栗ようかん
菊池さんの栽培したクリは、2002年から岩谷堂羊羹の栗ようかんに使われている。菊地社長は「地域の人々に愛着を持ってもらえるような商品にしたいと思い、商品に地元産の栗を使用している」と話す。
菊池さんは「300年以上の歴史を持つ岩谷堂羊羹の製造に携わることができてうれしい。今後も品質の良いクリを納品できるように頑張っていきたい」と意気込む。